「卒寿」上皇后さま90歳の誕生日 66年ともに上皇さまからの贈り物【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN
20日、90歳「卒寿」を迎えられた上皇后さまの誕生日に合わせて公開された映像で、上皇后さまがつけられていたブローチに注目しました。66年前に当時、皇太子だった上皇さまが贈られたもので、以来お2人とともにある特別なブローチなのです。【バンキシャ!】 *** 日本時間、19日。バンキシャが向かったのは、スペイン中部の町・トレド。歴史的な建造物が建ち並ぶ町で、ある工房を訪ねた。 ここでつくられているのが、トレドの伝統的な金細工。金属などの表面に模様を刻み、金などを埋め込み、装飾したものだ。 トレドで金細工を30年以上、制作している職人は…。 トレド金細工の巨匠 オスカル・マルティン・ガリードさん 「昔から結婚式や公的行事の贈り物として好まれてきました。トレドの金細工を持っているというのは、名誉なことなんです」 トレドの人々にとって特別なものなのだという。実は…。 誕生日に合わせて公開された映像(10月4日撮影)で、上皇后さまがつけられているブローチ。これも、トレドの伝統的な金細工。(「御製・御歌でたどる 両陛下の30年」より) これは、上皇さまが上皇后さまへプレゼントしたもので、これまでも折りに触れてつけられてきた特別なもの。ブローチに込められた、上皇后さまの思いとは─。 *** 20日、午前11時ごろ。上皇后・美智子さまの90歳、卒寿の誕生日を祝うため、仙洞御所を訪問された、天皇皇后両陛下。 これに先立ち、長女の愛子さまも、手を振り、入られた。 10月6日に転倒し、右大腿骨上部の骨折で手術を受けられた上皇后さま。1週間前(13日)に退院し、現在は仙洞御所で、毎日1時間以上のリハビリに励まれているという。 誕生日に合わせ公開された映像では、上皇さまと手をつなぎ話しながら歩かれる姿が。ここで上皇后さまがつけられていたブローチ。実は、もともと上皇さまが購入されたものだった。 71年前(1953年)、当時19歳の上皇さまが、エリザベス女王の戴冠式にあわせて、欧米14か国をまわられた。そこでトレドの町を訪れ、母の香淳皇后、妹の島津貴子さん、そして「未来の伴侶のために」と、ブローチを3つ購入された。それから5年後のこと…。 ナレーション(1958年11月27日) 「この日、晴れて皇太子さまのご婚約者に決まった正田美智子さんは、天皇皇后両陛下にご挨拶のため、午後1時、父・正田英三郎氏と母・富美子さんに付き添われて東京・五反田の自宅を発ち、皇居に向かいました」 1958年。上皇さまとの婚約が、正式に発表された上皇后・美智子さま(当時24歳)。 上皇后さま 「これからのことは何でも、殿下とご相談したうえで、いたしていきたいと思っておりますが、明るく自然に楽しく過ごせればと思います」 会見に臨んだこの日。上皇さまから上皇后さまへ、プレゼントされたのがあのブローチだった。 そして正式に皇太子妃となる、「結婚の儀」が行われる日の朝(1959年4月10日)。家族への挨拶をされる美智子さまの手元のバッグには、あのブローチとみられるものが。こうして、皇族としての一歩を踏み出された。 *** これは、上皇后さまが40歳の時の映像(1974年)。まだ幼い長女の黒田清子さんと遊ぶ、上皇后さまのブラウスの襟に、ブローチがつけられていた。 3人のお子さまを育て、上皇さまと歩まれてきた上皇后さま。 結婚25周年、銀婚式の会見(1984年4月)で、記者から「思い出の品」について聞かれた上皇后さまは、そのひとつとして、「東宮さまからいただいたトレド細工のブローチ」と答え、「大事にしまってあります」と、話されたという。 皇太子と皇太子妃として、天皇と皇后として。支え合いながら公務の日々を過ごされてきた。そして退位したあとも、上皇后さまは、あのブローチをつけられていた。 2年前(2022年)の上皇后さま88歳の誕生日にも。上皇さま89歳の誕生日でも。上皇さまが66年前に贈られ、以来ずっとお2人とともにあった。 上皇后さまの長年の友人、末盛千枝子さんは、ある思いが感じられるという。 上皇后さまの長年の友人 末盛 千枝子さん(83) 「ご自分たちが出会われたことを、とっても大切に思ってらっしゃるからじゃないでしょうかね。そういうブローチを未来の花嫁のために旅先で買い求めるなんてことは、すごく思いやりのあるというか、すてきなことじゃないですか」 「だから『それを私は覚えていますよ』ってことを折に触れて、美智子さまはお伝えになりたいんだと思います」 *10月20日放送「真相報道バンキシャ!」より