実は織姫と彦星は1年に一度も会えない 実際の二人の距離はどれくらい?
梅雨の時期、雨も多くてなかなか星と出合えず、寂しいですね。だから星が見えた夜は、いつもより嬉しく感じます。夏の大三角は見つけられましたか? 最近は、だいぶ空の高いところで見えるようになっています。さて、前回は織姫星をご紹介しました。お相手の彦星は夏の大三角のどれかわかりましたか? さっそく答え合わせしていきましょう。
七夕の彦星とは?
夏の大三角の中で一番離れたところにある星。それが彦星です。彦星は、牽牛(けんぎゅう)星とも名づけられていて、七夕物語では牛飼いとされています。 よく見ると、その星の両わきに少し暗い星があります。なんだか2頭の牛を連れているように見えませんか? さらに物語では、2人の間に天の川が流れています。街中からでは、天の川の姿はわかりませんが、空が暗いところに行くと2つの星の間にちゃんと天の川が見えます。織姫星と彦星を見つけたら、物語と照らし合わせてみてください。 彦星の正式な名前は「アルタイル」。そのまわりは暗い星も多く、形をつくるのは難しいですが、「わし座」の一等星です。アルタイルの意味は「飛ぶ鷲」。アルタイルの両わきにある星と結ぶと一直線になり、まるで翼を広げて飛んでいる姿がイメージされて名づけられたのでしょう。 実は織姫星である、こと座の一等星ベガは「落ちる鷲」という意味があります。こちらは周りの星を結ぶと翼をおりたたんで降下しているように見えたところから、そう名づけられたそうです。ベガとアルタイルは、七夕物語でも、鷲でも、つながりのある星たちだったのですね。
1年に一度も会えない2つの星
夜空でも七夕物語と同様に天の川の両岸に輝く織姫星と彦星。 一般的なお話では「1年に一度だけ織姫と彦星が会える」となっていますが、実際は、1年や2年そこらでは到底会うことができない超遠距離夫婦なのです。夜空を見上げると、2つの星はそう遠くないように感じます。しかし、地球から織姫星(ベガ)までの距離は約25光年、彦星(アルタイル)までは約16光年とバラバラな位置にあるのがわかります。そんな織姫星から彦星までの距離は約15光年。つまり彦星が光の速さで駆けつけることができても15年はかかります。 さらに、彼らの住む天の国に私たちが使っている便利な電子機器があったとして、メールなどの連絡をとろうとしても返信がくるのに最短でも30年はかかるというわけです。 いかがですか? 星と星の距離を調べると、宇宙の広大さを感じることができます。織姫星と彦星を見つけたら、ぜひ2人を応援してあげてください。