東京五輪延期でアスリートにのしかかる経済負担…1週間の食費6540円に節約の米国銀メダリストも
東京オリンピック・パラリンピックが延期されることになった。新型コロナウイルスの感染拡大で、通常開催を危惧していたアスリートからは延期を歓迎する声が出ている。国を代表するレベルのアスリートたちは、強靭なメンタルを持っている人が多く、延期されることが分かると、前向きで力強い言葉を発している。だが、一方で、オリンピックが延期されることにより様々な障害を乗り越えなければならなくなった。 大会組織委員会は、これから複雑で膨大な作業によって、1年後の夏が最有力といわれている開催にこぎつけなくてはいけない。膨大な追加費用がかかることは明らかだ。そして、その追加費用が必要だという経済的問題は、オリンピック・パラリンピックの代表を目指す選手個人にものしかかってくる。 英国のデイリーメールは26日付の電子版で、延期の決定が、スポンサー契約をしているスター選手たちの収入に影響があることを報じている。昨年の世界陸上の女子七種競技で優勝した英国のカタリーナ・ジョンソントンプソン、英国の陸上女子短距離のディナ・アッシャースミスらのスター選手は、スポンサーからのボーナス金額が競技結果によって変動する契約になっているという。 今夏は、大会そのものが行われないので、ボーナス金を手にすることができない。誰の契約かは明らかにされていないが、関係者の話として最大で7万5000ポンド(約1000万円)を手にするはずが、1万5000ポンド(約200万円)程度に減る可能性があるとしている。 ジョンソントンプソンやアッシャースミスらのスター選手でも収入が減少する危機に瀕しているが、スポンサー契約を得られないマイナー競技の選手はさらに厳しい状況にさらされている。 3月24日付のニューヨーク・タイムズ電子版は、男子シンクロ高飛び込みの米国代表としてリオ五輪で銀メダルを獲得したスティール・ジョンソンの話を伝えている。 妻と暮らすジョンソンは「僕たちは経済的にとても、とても厳しい1年を過ごしてきた。フルタイムの仕事に就かずに、あと12カ月から15カ月もダイビングの練習を続けられるかどうか分からない。これ以上の犠牲を払うことを考えるのはとてもつらいことだ」と述べている。