「有休」を"メンタル回復"のために使うのはアリorナシ? 仕事や育児・介護で燃え尽きないコツを米医師がレクチャー
メンタルヘルスデーを取るタイミング
いつメンタルヘルスデーを取るか、それは車の手入れとよく似ているとアンブローズ医師は強調する。「車が効率よく走り、壊れないようにするためには何が重要か。必要なのは、ガソリンだけじゃないですよね。前もってオイル交換したり、定期点検をしたり、流体フィルターを取り替えたり、色々手間と時間がかかります。人の体もそれと同じなのです」 理想的な状態としては、問題が起きてから対応するのではなく、予防的措置としてメンタルヘルスデーを取ることだとバレッツ博士。「必要に迫られて休みを取るよりも、その前に自発的に休みを取るほうが、結果的には短期間で復活できる可能性が高いため、仕事や家事に影響が出ません。事前に休息を与えることこそ、休みの最適なタイミングなのです」と博士。 とはいえ、仕事や日々の生活から休みを取るというのは、簡単なことではないから休みを取れていないケースの人も多い。例えば、物理的に有給休暇が最小限しか貰えない人や、抱えているプロジェクトへの責任が障害になるひと、他の先進国と比べて子育てインフラが不十分なために働く親世代の負担が大きいことなどが挙げられる。 よって現実社会では、精神的に打ちのめされた人ほど、なかなか休みを取ることが難しいのが現状なのだろう。だが、仕事を続けたい・家の平穏を保ちたいのであれば、やっぱり休みを取ろう。「集中力が続かない」「ひどく疲労を感じる」「仕事で腹を立てやすい」「孤独感を感じる」といった項目が、休むタイミングであるサインだとバレッツ博士は勧める。 具体的に、以下のような場合はメンタルヘルスデーを取るべきタイミングだととらえて。 ・ストレスレベルが高まり、身体的健康や感情的健康に影響を及ぼしている。 ・ストレスや不安、精神的に疲れ切った感覚が続いている。 ・なかなか集中できない、モチベーションの欠如、打ちのめされた感じがする。 ・以前はそれほどでもなかった日々のストレス要因に、今では対処するのが困難。 ・仕事や私生活で燃え尽きを感じる。 ・ストレスの影響が体にも現れている(最も一般的なのは頭痛や筋肉の緊張、睡眠障害、消化不良などの問題)。 燃え尽き症候群は、慢性的に職場のストレスを受けた結果生じるもので、世界保健機構(WHO)にも認知されている職業上の症候群のひとつ。「よくある特徴としては、消耗や疲弊を感じ、仕事について否定的あるいは皮肉的な感情を持つ、仕事にあまり効果が出ていないと感じるといった3つの側面があります」。このように感じる場合は、メンタルヘルスデーを1日あるいは数日取ることが解決への一歩で、仕事のストレスから自分を少しでも解放してあげることが重要だとシャーマ博士はアドバイスする。 休暇という時間を自分に与えて、音楽を聴いたり、美容院に行ったり、読書、工作、ガーデニング、瞑想など、自分に喜びや心の平穏をもたらすアクティビティーをしよう。それが結果的には、よりよい仕事や生活へと繋がっていくのだ。 ※この記事はPreventionからの翻訳をもとに、日本版『ハーパーズ バザー』が編集して掲載しています。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
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