「日本では他人に干渉しないビジネスが人気」「美容室でも会話しない」海外での報道は?
この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。 日本はアニメや漫画、ハイテクの国として有名だ。しかし、おひとり様の国としても知られている。実際にひとり暮らしの人は増えるばかりだ。これを踏まえて誰ともほとんど、いや全く関わらずにサービスを受けられる場所が増えてきている。こうした「無言のビジネス」は、ひとり暮らしであろうとなかろうと、店員と会話せずにサービスを受けられるという画期的なビジネスモデルなのだ。東京では美容院がまず始めた。プライベートサロン「ヘアーワークス クレド」では予約の段階でどの程度会話するかを選べる。普通に会話、会話少なめ、会話なしの3段階あり、会話なしを選ぶ人は60%、要するに過半数だ。サロンオーナーの野口高宏は「ジャパンタイムズ」の取材に対して次のように語っている。「2014年当時、日本国内でこのようなオプションを独自に提供している美容室は他にありませんでした。最初は、内気な人向けのサービスと思っていましたが、何年かするうちに、静かに一日を過ごしたい人もいることに気づきました。スマートフォンを見たり、パソコンで仕事をしていたり、音楽を聴いたり、本を読んだり、鏡を見ていたり、時にはハサミの音に耳を傾けていたり」 「ホットペッパービューティーアカデミー」が2024年4月に実施した調査では、調査対象者(20歳から49歳のサロン利用者)2,000人中52.9%が、美容室で会話をするより静かに座っていたいと答えた。その多く(43.5%)が、話すのが苦手で、気をつかうと答えている。
沈黙のコーヒーショップ
このような消費者動向には一部の既製服ブランドも注目している。日本の衣料品ブランド、アーバンリサーチは、買い物中の意思表示ができるショッピングバッグを店内に用意している。透明なブルーのバッグは、販売員から声をかけられたくない客用で、無色のバッグはアドバイスを受けたい人用だ。この取り組みは消費者の支持を得て、今では約10%の消費者が青いショッピングバッグを選択、店員とのやり取りによるストレスを避けている。 レストランも同様の取り組みを行っている。日本の大手寿司チェーン「くら寿司」では、注文はすべてスマートフォンでQRコードをスキャンして行い、寿司はベルトコンベアで直接テーブルに運ばれる。つまりは店員と接することなく食事ができる仕組みだ。このコンセプトを推し進めた結果、文字通り沈黙を強いられるカフェもある。大阪のあるカフェでは、会話禁止の厳しいルールを導入している。入店すると、客は話さないようにというカードを渡される。どうしてもコミュニケーションが必要な場合は、絵文字入りのプラカードで対応する。くら寿司広報部の辻明宏氏はジャパンタイムズの取材に「機械では英語メニュー表示も可能ですから言語の問題も解決します」と注文システムの利点について語っている。社会的圧力が強い日本において、個人主義の高まりと共に出てきた新サービスは歓迎されている。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)