俳優生活40年・妹尾和夫「升毅、國村隼と芝居を語り合った日々」
前回、妹尾和夫の大学時代の後輩で俳優の神谷光明が、日本大学卒業後に大阪へ戻ったのに、時代劇など全国ネットのテレビに出ている姿を見て影響を受けて連絡を取り、共に活動するようになりコントに挑戦したことを綴った。しかし、妹尾はその頃、どのようなドラマに出ていたのだろうか。自身が主宰する劇団の稽古場で改めて語ってもらった。 俳優生活40年・妹尾和夫「後輩との再会・思いつきでコント開始」<9>
升毅&國村隼との出会い
「関西に帰ってきてから『必殺仕事人』の名プロデューサー、ABC朝日放送の仲川利久氏に会ったお話を以前したと思います。それがきっかけで新たな出会いが生まれたんです」と目を閉じながら妹尾は含み笑いをみせる。 週に何度か仲川氏カバン持ちを担当し、テレビドラマの世界を目の当たりに。そして、仲川氏が手がけるドラマのリハーサルで代役などをこなしたりした後、ドラマ「部長刑事」のチンピラD役でデビューしたのは、以前綴った通りだ。 そんな現場で、同世代の役者との交流していたが、中でも深く交流し、現在も様々なドラマで活躍する俳優が2人いる。1人は升毅。もう1人は國村隼だ。
升の家で演劇を語り合った日々
当時2人は大阪の「劇団五期会」に所属していた。同世代の役者ということで、仕事先で一緒になるごとに交流は深まっていった。 「ちょうど升さんの家が豊中か吹田の方にあってね。なんかすごく青春時代を思い出すなぁ」と妹尾はうれしそうにその時の話を始めた。 いまや、数々のドラマや映画で活躍中の升と國村だが、当時はまだ若手で名前も広く知られていなかった。もちろん、このメンバーは本当に芝居が大好き。しかし、売れて食べていけるようにならなかったら、役者を続けたくても続けられない。 そこで、所属先は違うものの、同世代の俳優たちが集まって「芝居とはどうあるべきか」といった議論を行い、メンバーはクォリティの高い芝居ができるよう努めていった。同じ道を歩む仲間との話し合いは刺激を生み、自分の演技にもかなり参考になったこともあった。 升とは後年、演劇ユニットを結成したり、自身の劇団にゲスト出演してもらったりと交流は現在も続いている。