【カスタム車紹介】トレーディングガレージ ナカガワ GPZ900R(カワサキ GPZ900R)1024cc化後20年、2度のO/Hと+R-Shot#Mで好調を維持
パーツ事情に配慮しながら長寿化を狙う処理を推奨
この’24年で開店から30周年。主力をエンジンチューニングに置き、ニンジャ=GPZ900R系はその中心となっているトレーディングガレージ ナカガワ(TGナカガワ)。この車両は同店開店以来の付き合いがあるお客さんのものだという。それを最近撮影したものだ。 【写真はこちら】トレーディングガレージ ナカガワがカスタムしたGPZ900Rの全体・各部(10枚) 構成パーツからは車両の製作時期も推測できるが、手入れの行き届いているきれいな姿からは、前後17インチ化ほか細部にまで手が入っていることも分かり、それが楽しまれ続けているとも分かる。 エンジンにもTGNパーツによるシリンダーヘッドへのオイルバイパス追加、同じくヘッドカバーへのTGナカガワ・DOS-R(ダイレクトオイルシステムR)追加でニンジャの弱点となる吸気側カムまわりの潤滑性を高める。さらに現代車のようにプラグキャップ部に点火用コイル一体化したTGナカガワ・DIS(ダイレクトイグニッションシステム)も装着して点火も確実化&強化(タンク下に収まる通常の点火コイルを排してしまえる)と、まず必要と思われる強化・対策メニューが施される。 「内部もヨシムラST-1カム、φ75mmピストンにGPZ1000RXの軽量加工クランク(ストロークはGPZ900Rの55から58mmに)を組み合わせた上で、当店のチューニングを加えています。排気量は初期に作ったこの1024ccで楽しまれて、まだ長く乗るということで2度目のオーバーホール時にR-Shot#Mもフルに施しました」 TGナカガワ・中川さんは言う。何度か説明してきたが、R-Shot#MはTGナカガワオリジナルの表面処理。対象物の表面に二硫化モリブデンを混入したメディア(担体粒子)をショット(高速打ち付け)して対象物の表面強度を高め、かつ摺動抵抗を減らす手法だ。対象物の寸法を維持してくれる特徴もあり、長期定着性も確認されているから、測定して許容範囲内にあるエンジン内部の中古パーツも再使用できるなど、多くのメリットがある。 登場してから5年を超えようとする中で、エンジンチューニングを依頼する、再オーバーホールする時に合わせてオーダーするユーザーも増えた。この車両のオーナーのように長い付き合いのお客さんへの浸透率も高く、施工後のエンジンが過渡特性も合わせてスムーズになったことを体感できたという例も複数聞いている。このように、今や欠かせないメニューと言えるほどに、R-Shot#Mの存在は大きい。エンジンの仕様に納得して2度のオーバーホールを受けるまでに走る。その上で、今後を見越したパーツへの処理を加える。気に入った車両の動態維持の例になっているという点でも、この車両は参考にしたい。
ヘリテイジ&レジェンズ編集部