約1万3000銘柄への極めて幅広い分散投資 資産運用の柱を担う「全世界超分散株式ファンド」
新興国を含む全世界の株式約1万3000銘柄に投資する「超分散」を実現した「全世界超分散株式ファンド」が、日興アセットマネジメントによって5月17日に新規設定された。新興国を含む全世界の株式に投資するファンドは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動するインデックスファンドが新NISAの積立投資対象として人気になっているが、その投資対象銘柄数は2700銘柄程度(2024年7月末時点)だ。「超分散」することにどのような意味があるのか? 同ファンドの実質的な運用を担うディメンショナルの日本拠点であるディメンショナル・ジャパン・リミテッドのCEO兼日本における代表者のジョン・アール・アルカイヤ氏(写真:右)と日興アセットマネジメントのリテール事業本部副本部長の高野誠氏(写真:左)に聞いた。 ――ファンドの実質的な運用を行うディメンショナル社は、ノーベル経済学賞受賞者が複数在籍する非常にユニークな運用会社だということですが、会社の特徴を紹介してください。
アルカイヤ 1981年に米国で創業した会社ですが、その大きな特徴として挙げられるのは、経済学で認められたアカデミックな理論に基づいた運用を行っているという点です。当社は、株式の期待リターンを説明する要素として「企業規模」などに注目する枠組み「3ファクター・モデル」の提唱者であるユージン・ファーマ氏(2013年 ノーベル経済学賞受賞)とケネス・フレンチ氏を取締役に迎えるなど、ファイナンス業界の優れた研究者が籍を置き、実証データに裏付けられたアカデミックな理論をファンドの投資アプローチとして提供しています。
「3ファクター・モデル」が提唱する「小型株は大型株に勝る運用成績をあげられる」という検証結果に基づいて、それまで大型株でしか運用していなかった機関投資家に小型株のポートフォリオを併せ持てば、パフォーマンスが向上するということを提案し、実際にパフォーマンスの向上をもたらしたことなどで信頼を勝ち得てきました。また、創業者メンバーの中には、「市場は効率的である」、すなわち、「市場価格は利用可能なすべての情報を織り込んでいる」という効率的市場仮説の理論を裏付けとして、史上で初めてインデックスファンドの組成に携わり、金融工学の発展に寄与した者もいました。