無能なリーダーは「全員の理解を得よう」とする。じゃあ、できるリーダーは何をする?
「職場のモヤモヤを解決してくれる本だ」「会社員人生が180度、変わった」 そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健) ● 評価者は「どこ」にいる いいリーダーと悪いリーダー。その差は、「意思決定の仕方」で決まります。 無能なリーダーは「全員の理解を得よう」のです。それでは、いつまで経っても、できるリーダーにはなれません。 ここで考えてほしいのは、 「意思決定に対する『評価者』はどこにいるのか」 ということです。 リーダーの意思決定の評価者は、チームのメンバーではありません。 評価者は、外にいます。 というのも、評価者はお客さまであったり、上司だったりするからです。 「部下やメンバーが評価者ではない」ということがポイントです。 意思決定の材料は、いつも完璧に揃うことはありません。 評価者が外にいて、意思決定の材料が100%揃う状況はない。 そうなると、ある程度の材料に基づいてリーダーはいち早く決める必要が出てきます。 そして、それを実行して、外部の評価を受け、そして修正して決める。 それを繰り返していくのです。 そのサイクルをいかに早く回していくのか。 それによって、徐々にチームを勝利に近づけていくことが求められます。 まずはその瞬間で、自分の判断で意思決定をする。 内部で反対が出ることもあるでしょう。 もしくは、全員が納得して正しいと思った意思決定をすることもある。 それでも、評価者は外にいます。 ということは、その意思決定が正しいかどうかはチーム内ではわからないのです。 ● 「パーフェクトな意思決定」が明暗を分ける ここで差がつくのは、いかに早く実行して修正したか、という部分です。 1 じっくり時間をかけて慎重に決めた意思決定 2 ある程度の不確実な状況の中で思い切った意思決定 という2つがあります。 たとえ「2」であっても、早く実行して修正すれば、「1」に勝てるということです。 さらに、「1」であっても、失敗することはあり得るわけです。 多くの組織で起こっている問題は、「1」が常態化してしまっていることです。 決めるまでに時間がかかりすぎている。 ただ、評価者が外にいるのだから、 「やってみないとわからない」 という不確実性が大いにあるわけです。 だから、いち早く決定して、そして一日でも早く、一秒でも早く、そのチームを勝利に導くことがリーダーの責任なのです。 結果的に勝利に導く、ということです。 そのためなら、失敗や修正は必要です。 100%正しい意思決定をし続けることは不可能です。 正しい意思決定がリーダーの仕事ではありません。 100%正しい意思決定をするために組織全体を停滞させてしまうことは、無責任な行為なのです。 こうした「結果的にうまくいくことに貢献した意思決定」を、「パーフェクトな意思決定」と呼んでいます。 決して、100%正しい意思決定ではない。 むしろ、そういうものとは真逆の性質を持つことを、あらためて覚えておいてください。 (本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです) 安藤広大(あんどう・こうだい) 株式会社識学 代表取締役社長 1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。
安藤広大