妻から熟年離婚を切り出され、「退職金」も分割されると知りました。妻が「離婚後のために貯めた200万円」も財産分与の対象になるのでしょうか?
Aさん夫婦は熟年離婚します。「妻は以前から離婚後の生活のために個人的に預金していて、200万円貯まったそうです。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説 いま財産分与について話し合っているのですが、妻個人の預金は財産分与できるのでしょうか? 」とAさんが相談にいらっしゃいました。
熟年離婚と財産分与
熟年離婚とは、一般に20年以上結婚生活を送った中高年夫婦の離婚をいいます。離婚の際には婚姻期間中に築いた財産を2人で分けることになりますが、これを財産分与といいます。 原則として、財産は夫婦で2分の1ずつ分けます。対象となるのは、婚姻期間中に築いた財産で、 ●現金 ●預貯金 ●不動産 ●株式・投資信託 ●債券 ●保険(生命保険、年金保険など) ●退職金 ●住宅ローンなどの借入金 などが挙げられます。一方、財産分与の対象とならないのは、結婚する前から持っていた財産や、婚姻期間中であっても、それぞれの実家から相続や贈与で受け取った財産です。
Aさん夫婦の事情
Aさん夫婦はともに50代後半で、一人娘は結婚して家を離れました。離婚を切り出したのは妻でしたが、Aさんもコロナ禍で在宅ワークが増えた頃からお互いの価値観の違いを感じていました。ずっと専業主婦だった妻は、数年前から離婚に備えてパートを始め、すでに200万円ほどを新しい生活の資金として貯めているようです。 Aさんはやり直せないかと話し合いましたが、妻の離婚の意思は固く、離婚に応じることにしました。ただ、調べていくと自分名義の預貯金だけでなく退職金も財産分与の対象になるほか、65歳から受け取るはずの公的年金の一部も妻に分割されると知りました。 Aさんは、どうしても納得できなくて、まだ受け取っていない退職金や年金も本当に半分ずつ分けるのか、妻の離婚準備の200万円の預金が財産分与の対象とならないのかと、相談にいらっしゃいました。
妻の預貯金
妻名義の預貯金も、結婚生活の中で貯めた預貯金であれば財産分与の対象となります。 パートで働いて得た収入であっても、生活費を切り詰めて貯めたへそくりであっても、その期間の生活費は夫の収入から賄っていたのですから、夫婦共有の財産と考えられるのです。