電力・水・土地・人材 AIが引き起こす「資源競争」に備えよ
米国時間12月13日、ブルームバーグは「AIはより多くのデータ、より多くのチップ、より広い土地、より多くの電力、より多くの水──つまりあらゆるものを求めている」という記事を掲載した。読者の目を引くこの論説は、大規模言語モデル(LLM)を今後数年にわたってデータセンターで支え続けるにはどうすればよいのかという議論への誘い水だ。 この記事は、ここ数週間から数カ月にわたって、多くの人々が抱いている疑問を示している。以下に、現在のAI分野でとりわけ関連性が高いポイントをまとめよう。 ■突然、本格化した新たなエネルギーソリューションへの意識 記事は、データセンター向けの新たな電力源への投資が、AIによる需要増加前には低迷していたと指摘している。その好例が原子力である。1970年代に懸念されたスリーマイル島事故のような暗い時代から技術は大幅に進歩しているにもかかわらず、米国では長年、新規原子力発電所の開発に及び腰であった。しかし、ここ数年でAIがもたらした急激な需要増により、TerraPowerのような企業が新たな原子力ソリューションの導入を急いでおり、米国全体がおおむねこれを受け入れる空気になっている。 全体の電力需要について、記事は、2020年代末までにデータセンターが世界の電力使用量の最大8%を消費すると予測している。このため、エネルギーに対する発想を大きく転換する必要がある。 興味深い補足として、記事はConstellation EnergyのCEOによる「一見無謀に思える」計画を引用している。同社は、マイクロソフト向けにスリーマイル島原発を復活させる任務を担っている企業だ。 ■富裕層と権力者が有利になるデータ構造 記事が繰り返し強調するもう1つの点は、豊富なリソースを持つ集団ほど、生成AIによる成果に対して強い影響力を行使できるという現実である。資金力のあるグループは、より優れたLLMを自由に使いこなせる一方、AIが機能するために必要なデータにも偏りがある。 記事後半で記事は、高品質なデータの大半が欧州的背景を持つ英語圏社会に集中していると指摘している。専門家によれば、多様な非白人社会集団向けの十分なデータがなければ、そうした集団はAI革命から取り残されるおそれがある。この問題は、技術登場当初からエンジニアたちが取り組んできたバイアス問題に直結している。