【Around30】「女子アナ30歳定年説」の中、29でフリーに転身 五戸美樹さん
【連載】Around 30 人生の分岐点~私はこれで生きていく~ 第1回 フリーアナウンサー(元ニッポン放送アナウンサー) 五戸美樹さん(29) 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした30歳前後の人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第1回は、今年11月にラジオのニッポン放送を退職し、フリーアナウンサーになった五戸美樹さん(29)に迫る。彼女があえてフリーになり、それでも続けたいと思うアナウンサーとはどんな仕事なのか。そして彼女が伝えたいものとは。 ◇ 「おお、おはようございます、あ、鼻水が…」 2009年7月15日午前9時20分。ニッポン放送の新人アナウンサーは、文字通り「初泣き」した。公共の電波で初めて声を出すことを「初鳴き」というが、彼女の場合は、本当に泣いてしまった。 「初鳴き」が「初泣き」になるのは無理もない。数か月前まで大学生だった若者が急に数十万、数百万人規模のリスナー前に立つ。いつも聞いていたラジオの向こう側の人になる。想像するだけで膝がガクガクして、汗もダラダラになりそうだ。 向こう側の人として「初鳴き」を勝ち取るには、就職活動で、数百倍以上の倍率の試験を受ける。アナウンサーになりたい大学生は、そういう試験をいくつも受ける。五戸さんも就職活動はアナウンサー職ばかりに応募していた。「じゃあここはあなたの住む街で、今から1分間リポートしてください」などと言われ、極度の緊張から思わず頭が真っ白になりそうながら、数々の関門をくぐり抜け、あの「初泣き」にこぎつけた。
「垣花正のあなたとハッピー」は、約7年続く人気番組。新人アナウンサーが中継コーナーでデビューを飾るのがニッポン放送の定番だ。アナウンサーは入社すると、各局で方法や時期は異なるが、数カ月間の研修を受ける。デビューした後も諸先輩方のアドバイスをもらい、自分の糧としていく。