「ハマス」を排除しても、誰がガザ地区の治安と復興の面倒をみるのか
元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が12月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエルとハマスの紛争について解説した。
イスラエル軍とハマスの戦闘開始から2ヵ月が経過
イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから、12月7日で2ヵ月が経った。イスラエル軍は北部と南部の複数の町でハマス側の防衛線を突破したと主張し、地上侵攻を進めているが、現地では人口の8割を超える約190万人が避難を余儀なくされており、人道状況の悪化がさらに深刻化している。なおパレスチナ自治区ガザの保健省は7日、2ヵ月の戦闘でパレスチナ人1万7177人が死亡したと発表した。 飯田)まず10月7日にハマスがイスラエル側に越境し、殺害や拉致を行った。それから2ヵ月が経過しました。先行きが見えなくなってきた気もしますが。 兼原)(ハマスによる10月7日の攻撃で)約1200人が殺されています。これが日本で起きたら、すぐに警察庁長官はクビになっていると思います。国民が激昂しますから。そのくらいすごい数なのです。イスラエル側は脅威を除去しなければ終われません。ただ、脅威であるハマスはゲリラなので、民間人のなかに紛れ込んでいるわけです。それを叩くと民間人も一緒に死んでしまう。また幅10キロ、長さ40キロの狭いところに(ガザの人々が)約200万人いると言われています。ハマスはそこに500キロのトンネルを掘っているとされ、硫黄島のような状況になっているようです。
ハマスの脅威を除去しても、誰が治安と復興の面倒をみるのか
兼原)そこに人質を置いているので、突っ込めないのです。いま北部が終わって、今度は南部を攻撃すると思いますが、もう少し時間が掛かりますし、残虐な戦争は続きます。 飯田)続く。 兼原)人道回廊を設置し、薬や食料を入れたり、怪我をした子どもや女性を救出することはできると思いますが、3日間の停戦が終わったら、またすぐ戦闘に戻ってしまった。いちばんの問題は脅威を除去したあと、誰が治安と復興の面倒をみるかということです。ことごとく壊してしまったので、約200万人分の家も全部潰れています。 飯田)そうですよね。 兼原)復興にはお金も掛かります。また、アラブの人たちはイスラエルには付き合いません。では国際社会が付き合うかと言えば、周りは全部アラブであり敵なので、テロの脅威があるから付き合わない。イスラエルが自分でやるとなると、相当辛いです。テロがたくさん起きると思います。 飯田)イスラエルも直接統治していた時期があるけれど、結局できなかったという歴史があります。