北陸新幹線京都駅で「地下水への影響」問題が勃発!酒造り・染色…伝統産業への影響を危惧する市長の懸念は南北案・桂川案では「杞憂」だ
従来の「開削工法」より影響が少ない「シールド工法」
言うまでも無くこの地下水の問題は「技術的な検討」が必要となりますので、この件についての「公式な技術検討結果」を、地盤工学の専門家の先生方や関係者の方々にヒアリングしつつ改めて調べたところ、8月に国土交通省鉄道局と(独)鉄道・運輸機構の「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)詳細駅位置・ルート図(案)ご説明資料」が公表されていることが確認できました。 この資料において「地下水」の問題と関わる情報は2ページ目に記載されています。曰く、 『地下水への影響について(シールドトンネル) 1)シールドトンネルは基本的に水を通さない構造のため、トンネル内に地下水を引き 込まない。 2)京都市街地の地下水は、浅い層・深い層ともに地下水が面的に流れているため、十 分な厚さがある帯水層に対しシールドトンネル(約10m)は点の構造物となり、地下 水をせき止めない。このため、シールドトンネルによる地下水への影響は発生しないと考えている。なお、京都市街地地下水への影響解析を実施したところ、トンネル設置に伴う地下水位低下域の発生は予測されなかった。』 この1については、シールド工法と呼ばれるトンネル技術における「常識」の範囲のものですので、特に異論はなかろうかと思われます。 なお、これまで、京都市の地下には、地下鉄南北線、東西線、阪急京都線、京阪鴨東線といった「地下鉄道」が作られてきています。したがって今回の北陸新幹線の地下の工事は決して「初めてのケース」ではありません。ただし過去の地下鉄道は全て、「地下水への影響がより大きな」開削(オープンカット)工法で作られている一方、地下水への影響が工学的により僅少である「シールド工法」での工事の最初の事例となる予定です。詳しくは「補足2」をご参照ください。 一方、2についても「十分な厚さがある帯水層に対しシールドトンネル(約10m)は点の構造物」であることは事実であり、その事実を踏まえると「シールドトンネルによる地下水への影響は発生しないと考えている」という部分についても、一般論として反論しづらい主張であると思われます。 また、2の「京都市街地地下水への影響解析を実施したところ、トンネル設置に伴う地下水位低下域の発生は予測されなかった」という点については、その解析内容を詳しく精査しなければ最終的な評価はできませんが、少なくとも上記の一般論を踏まえるだけでも十分にあり得る結論だと考えられます。