flumpoolライブ ファンへの感謝 そして担うべき責任とは(密着レポート)
横浜アリーナに組まれたサブステージ。メインステージから離れた後方の席だったファンにとって、まさにサプライズ。間近に迫るflumpoolのメンバーに感極まり、涙を流す女性ファンの姿もあった。ボーカル山村隆太とギター阪井一生は、漫才のような掛け合いで会場を盛り上げる。尼川元気もマイクを渡されるとボソボソと話し、笑いを誘う。うれし涙、笑い声、歓声、さまざまか思いが場内に溢れる。そして、マイクを渡されたリーダーの小倉誠司はファンへの思いを言葉にする。 「来てくれてありがとう」。 まぎれもない感謝の言葉だった。 ■苦しみ抜いて掴んだメジャーデビュー 大阪でプロを目指し地道に活動を続けていたflumpool。それでも「(ライブの)お客さんは増えない。CDは売れない。これはヤバいな、と思いました」(山村)と、苦しみ抜いた末に掴んだメジャーデビューだった。2008年の『花になれ』で鮮烈な印象を放って以降は、“飛び級”で駆け抜けてきた。デビュー5周年を迎え、ベストアルバムをリリース。その全国ツアーの1つの節目となったのが、横浜アリーナだった。 ■『もう次がない』という覚悟で挑んだ 2Daysの2日目、8月10日。午前中からメンバーは会場入りする。最初に動き出したのは山村だった。別室に籠もり、“声出し”を始める。ゆっくりとじっくりと声を絞り出す。普段のツアーであれば、声出しは、リハーサル後になることが多いという。しかし、いつもより数時間も早くエンジンをかける。「今日は長くやりましたね。『次はもうない』くらいのつもりで、出し切ろうと思った」と山村は説明する。そこまで覚悟するには、理由があった。 2009年に開催された初のホールツアー、渋谷公会堂でのライブ。極度のストレスで声が出せなくなった“事件”があった。そのとき、支えてくれたメンバー、スタッフ、そしてファンの温かい声援。その経験があってこそ、今、アリーナのステージに立つことができる。だからこそ、後悔したくない。全力を尽くす。それが、彼の考え方となった。 山村が別室に籠ってから、少しすると会場のサウンドチェックが始まる。小倉が、阪井が、尼川が次々にステージに姿を見せる。ドラムを叩き、ギター、ベースを響かせ、微調整を繰り返す。その表情は少しの緊張感と、数時間後に開催されるライブへ期待する笑顔に溢れていた。