VistaJet、17時間飛べるGlobal7500羽田で公開 大谷選手も利用
ビジネスジェット(BJ)運航大手の英VistaJet(ビスタジェット)は11月26日、都内で事業説明会を開いた。米メジャーリーグ(MLB)ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手も使用するなど、今後市場の成長が期待される日本で初開催し、最長航続距離を誇るフラッグシップ、ボンバルディアのGlobal 7500(グローバル7500)を羽田空港で公開した。 【写真】ダブルベッドを備えるVistaJetのGlobal 7500 ◆超富裕層増える日本 VistaJetは2004年に創業し、今年で20周年を迎えた。法人利用では「ビジネスジェット」、個人向けは「プライベートジェット」と呼ばれる、乗客が4人から20人程度乗れる小型ジェット機を300機以上保有している。 法人や個人が機体を保有すると、新造機であれば小型の機体でも10億円以上の機体価格や、整備費など運航コストがかかる。一方、VistaJetは、会員になると1時間約1万5000ドル(約230万円)から利用でき、アプリを使って搭乗24時間前までに予約すれば、世界各地から乗れる手軽さが売りだ。 来日したアジア太平洋・中東・アフリカ地域のマーケティングを統括するエイミー・ヤン副社長は、「顧客の要望やどこから飛行機を手配するかなどで利用料金は変動する」と明言を避けたが、グローバル7500クラスの機体であれば、東京-ロサンゼルス間の往復であれば5000万円程度、ニューヨークなど東海岸であれば6000万円以上になるとみられる。 日本市場のVistaJetのシェアは57%。ヤン副社長によると、英国の不動産コンサルタント会社ナイトフランクの調査で、「日本の超富裕層(UHNWI)は2万1710人に達し、2028年までに12.9%の成長が予測される」。法人と個人の利用比率も明言は避けたが、日本の顧客が向かう主な目的地は「北米が45%、欧州が25%、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が10%」だという。 今年1月から9月までの日本発着の空港トップ10は、出発空港の1位が香港、2位がソウル(金浦)、3位がシンガポール(セレター)、4位が上海(虹橋)、5位が中部(セントレア)、6位が羽田、7位が台北(松山)、8位が北京(首都)、9位が札幌(新千歳)、10位が関西だった。 目的地の1位も香港で、2位はソウル(金浦)、3位は羽田、4位は台北(松山)、5位は上海(虹橋)、6位はシンガポール(セレター)、7位は北京(首都)、8位は札幌(新千歳)、9位は中部(セントレア)、10位がソウル(仁川)だった。 ◆最長17時間飛べるグローバル7500 VistaJetの機材で、中核をなすのがボンバルディアのビジネスジェット。最大の機体であるグローバル7500は、2019年からVistaJetへの引き渡しが始まり、現在は18機運航している。 航続距離は7700海里(約1万4260キロ)で最長17時間飛行でき、東京から米東海岸へノンストップで飛行できる。大きさは全長33.8メートル、全高8.2メートル、翌幅31.7メートルで、客室は長さ16.59メートル、高さ1.88メートル、幅2.44メートルで4区画に分かれており、VistaJetの機体は座席数14席、ベッドにする場合は8人まで乗れる。 客室は前方に3人掛けの大型テーブル、中央は大型テレビが備えられたリビング、後部はダブルベッドがある寝室、最後尾は化粧室とした。 ヤン副社長は「どの機体に乗っても、同じサービスを受けられるようにしている」と、競合機のガルフストリームG700と比べ、航続距離や他機種と同様の客室仕様を実現することなどからグローバル7500を選択したという。 一方、ビジネスジェットはCO2(二酸化炭素)排出量の点で、批判を受けることが多い。ヤン副社長は「可能な限りSAF(持続可能な航空燃料)を使用しており、カーボンオフセットプログラムも用意している」と述べ、「定期便が乗り入れていない空港へ、乗り継ぎなく直接乗り入れられる」と最短距離の移動になる点を強調した。
Tadayuki YOSHIKAWA