毎週「1on1」は弊害ばかり。プレイングマネジャーを追い詰める“面談地獄”
弊害1…上司の仕事を増やす
1on1では、メンバーは、困りごとを上司であるプレイングマネジャーに相談します。 その困りごとは、管理職でなくてもメンバーが解決できる場合も多いのですが、自分がやった方が早いなとプレイングマネジャーが思ったり、メンバーから解決を依頼されたりします。 するとこの瞬間に、この問題を解決するタスクはメンバーから上司に移管されてしまうのです。 その上たちが悪いことに、1on1はクローズドな場でおこなわれているので、困りごとの詳細を周囲に話せないのです。そうなると現状把握をするだけでも時間がかかるのです。 こうしてプレイングマネジャーの時間が削られ、生産性が下がってしまいます。困りごとが1つであれば良いのですが、こんな話は簡単に広まって、他のメンバーからも困りごとの相談を受けるようになり、本来のマネジャーの仕事をする時間が削られていくのです。
弊害2…噂話でモチベーション低下
人は一般的に、悪口や陰口、噂話が大好きです。しかし、それらを人の前で話す人はそんなにいません。 ところが1on1の場では違います。「メンバーは本音を話していい」、「上司は部下の本音を把握する必要がある」という間違った認識があるため、皆の前では悪口を言えない人でも1on1の場では言えてしまいます。 それを聞いた側の仕事が増えることはすでに指摘しましたが、悪口、陰口、噂話は聞いていて気持ちが良いものではなく、プレイングマネジャーのモチベーションも下がります。 職場のメンバーは家族でもなければ、友人でもなく、職場は仕事をする場です。ところが、悪口・影口を言いやすい場になってしまうのが1on1の弊害です。
弊害3…チーム会議の活性化を阻害
上記2つの弊害を放置すると、さらなる弊害を誘引します。 メンバーは、何か言いたい事があっても1on1で相談をすればよいと考え始めます。そうなるとチームメンバーが集まる定例会議では発言しなくなり、定例会議が機能しなくなります。 そもそも日本企業では、会議で活発に意見を言うことが少ない傾向があります。ところが1on1は違います。聞き手のプレイングマネジャーは人事部から「傾聴しなさい」「受け取りなさい」と言われているので、しっかりと聴いてくれます。 その結果、定例会議の場で「現場の意見が欲しい」、あるいは「実行する際のリスクを想定したい」とメンバーに意見を求めても、会議は機能しません。 その結果、1on1で聞かされた内容を、さらに別の1on1で伝えなければならなくなるので、プレイングマネジャーはさらに時間ととられ、どんどん生産性が悪化していくのです。 この3つの弊害を理解した上で、上司や人事が1on1の運用を仕切らない限り、プレイングマネジャーは、1on1地獄から抜け出せないのです。 1on1の効果や生産性に少しでも違和感があったら、継続するのではなく、その生産性や効果を把握する。つまり立ち止まって、1on1を止めることを検討するのをお勧めします。 では、1on1をやめてどうするのか? 定例のチーム会議を活性化すればよいのです。 定例会議を活性化するのは簡単です。4つのポイントを抑えるだけで、生産性が高い定例会議ができるのです。
中尾隆一郎