中江有里さん、阪神・藤川球児新監督に「期待度百パーセント!」その深い意味
信仰とは「90%の疑いと10%の希望」
遠藤周作は『私にとって神とは』で、こんな質問を受けたことがある、と明かしている。 「あんたにとって神とは何か」 「いったい神なんか本気で信じているのか」 キリスト教信者の遠藤周作がそんな声に答えるため、Q&Aの形で記した一冊だ。 その中に「信仰というのは九十%の疑いと、十%の希望である」という文章がある。 宗教に限らず解釈すると、自分が信じる対象を九十パーセント疑い、十パーセントは信じるということ。 数字的に見れば、相当疑っている! 残り十パーセントに意味はないのか? いや、そうではなく、実はこの十パーセントは、九十パーセントよりも強いのだ。 どんなに勝ち目がなくても、希望を捨てたら、何も残らない。 少なく見える十パーセントの信じる力が、希望を叶える。だから九十%より強い。 翻って、24時間監督としてやっていく藤川監督。 勝利への期待が大きいからこそ、勝てば賞賛され、負ければ容赦ない批判にさらされる。これまでのタイガースの監督もそうだった。 ペナントレースは143試合もあって、ひとつ勝った負けたと一喜一憂したってしょうがない、とわかっていても、だ。 「コーチ経験がないのにいきなり監督で大丈夫か」「投手出身は監督に向かないのでは」など、すでに様々なことをメディアでも言われている。 それもこれも、ファンは信じているからだ。再びセ・リーグ6球団のトップに立つこと。その先の日本一も。
あえて数字に表すなら、期待度百パーセント!
11月9日、藤川監督の故郷に近い高知県安芸市での秋季キャンプに、阪神のオーナー付顧問となった岡田前監督があらわれた。 (80 OKADA)と縫いこまれた黒いジャージ姿でベンチに座る岡田オーナーはユニフォームでないけど、まだ監督っぽい。CS中は体調不良だった、と言われていたので、元気そうでホッとした。 岡田オーナーのそばにいる藤川監督は、若々しく現役選手みたいに見える。 まだ始まったばかりの藤川阪神。あえて数字に表すなら、期待度百パーセント! 来季90周年を迎える阪神タイガースのキャッチコピーは「鼓動を鳴らせ。虎道を進め」。 鼓動を高鳴らせてくれる来シーズンが待ち遠しい!
朝日新聞社(好書好日)