水原一平氏の違法賭博問題をテレビ局はどう報じたか フジ記者の強引な取材と解釈に疑問
やや強引なTBS
水原氏の解雇が明らかになった日本時間の3月21日と22日には、各社の夕方のニュース番組で、寿司店やボウヤー氏などを取材していた。なかにはドアホン越しの顔の見えない取材もあった。 21日のTBS「Nスタ」では、学生時代に水原氏がバイトしていた寿司店を取材していた。「バンキシャ!」も取材した寿司店だ。 「2006年頃、頑張って野球の仕事したいと言って目指していましたけどね」 と語る店長。 「(ギャンブルについて水原氏から話を聞いたことがあるか? という質問に)まあ…友だちとそういうようなことをやっていたかもしれませんが、それは趣味で自分の稼ぎの範囲でやっていれば問題はなかったんでしょうが…」 水原氏が学生時代からギャンブル好きだったことを匂わせようとする、やや強引なインタビューだった。だが、店長は当時の水原氏とギャンブルとの関係については言葉を濁し、「バンキシャ!」のようにギャンブルに関連する言葉を引き出すことはできなかった。この番組では翌日、ボウヤー氏の自宅も直撃し、ドアホン越しに「ノーコメント」と断られている。
波紋を呼んだFNNの「ドアホン」取材
21日のフジテレビ「イット!」は、水原氏の違法賭博問題をニュース番組として異例な長さで取り上げた。やはり学生時代のバイト先の寿司店の店長にも話を聞いていた。 番組ではさらに、FNN(フジテレビ系ニュースネットワーク)が、米国カリフォルニア州にある水原氏の父親の自宅を直撃する映像を使用していた。 水本翔記者(FNNロサンゼルス支局長/関西テレビ)が、玄関前でマイクをドアホンの前に出して尋ねる映像が流れる。 「すみません、一言だけ…。水原一平氏の報道についてちょっとお伺いしたくて…。一平さんが賭博に関与したというのを…」 水原氏の父親と思われる男性は、かなり怒気を含んで答えているのが伝わってくる。 (男性の声)「知らないよ。俺は何も…」 これは取材に対して拒絶する声ととれる返答だ。記者は構わずに畳みかける。 (水本記者)「何のご相談も受けていないですか?」 (女性の声)「帰って!」 水原氏の母親であろうか。これも拒絶の声である。 この声を撮ったことを確認して、水本記者がカメラマンに頷く様子も映像に残っている。撮れたぞ、というサインなのだろう。これでここの撮影を終えていいというサインだろう。 テレビ報道に携わってきた筆者の経験から考えると、水本記者はいきなり水原氏の両親宅を訪問したが拒絶された、と考えるべきだと思う。 ところが「イット!」内のロサンゼルス支局からの生中継に登場した水本記者は、このドアホン越しの映像を使い、「先ほどカリフォルニア州に住んでいる水原氏の父親が賭博に関わった疑惑について『知らなかった』と取材に対して答えています」とレポートしていた。