米大統領選でも暗躍! 生成AI導入で急増する「偽装ニュースサイト」の闇
「フェイクニュース」という言葉もなんだか聞き慣れてきてしまった今日この頃。しかしアメリカでは大統領選挙を控えて、生成AIを悪用したフェイクのニュースサイトが急増しているとのこと。 【画像】差別的な内容も含むピンクスライムの実例 誰がどのような目的でつくっているのか? 日本も無関係ではいられない、"情報汚染"の闇に迫る! ■広告収入目的のコンテンツファーム AI技術の進化がすさまじい近年。 OpenAIの「チャットGPT」や、マイクロソフトの「コパイロット」などの生成AIは、利用者がキーボード入力で指示するだけで、インターネットを検索したり、ファイルを参照したりして、人が書いたものと見分けがつかないレベルの文章を生み出してくれる。 そして、技術が進歩すれば、当然それを悪用しようとする者たちも現れる。 「主要メディアのコンテンツなどを盗用したり、改変したりする広告収入目的の偽装サイト『コンテンツファーム』の数がアメリカなどで急増しています」と語るのは、桜美林大学教授でジャーナリストの平和博氏だ。 「こうしたサイトは従来、いわゆるSEOライティング(検索で上位表示を狙う執筆テクニック)を基に人間が文章を作成していました。そのため作成には一定のコストや時間が必要でした。 しかしAIなら簡単に、既存のコンテンツを要約・改変し、さらに海外の情報も翻訳して取り込むことができます。こうした機能を使って大量の原稿を生成し、自動的に公開させることも可能。 人間に比べて圧倒的に低コストで、極めて短時間でコンテンツを作成できます。また、SEO対策としても、記事公開時点で"バズっているキーワード"に対応するページの作成も可能です。 全米広告主協会の調査では、自動配信される広告のインプレッション(閲覧)の約21%が、コンテンツファームの一種である『広告収入目的サイト(MFA)』だと報告されています」 さらに驚くべきことに、こうしたAIによるウェブサイトの生成と公開は、経済的な利益を狙う者以外からも注目を集め、大規模に行なわれているというのだ。 「それはニュースサイトに偽装して政治的主張をPRする『ピンクスライム』です」