相談等件数7年連続増“リベンジポルノ”被害の8割超が女性…交際期間に「撮影同意」した相手に罪を問える?【弁護士解説】
撮影状況別の罪の違い
実際、どのようにして性的データが相手の手に渡ったのか。入手までの経路や経緯によって罪はどのように変わるのか。性被害の弁護実績が豊富な本庄卓磨弁護士に、各ケース別の罪の違いを聞いた。 ◇恋愛関係にあり、撮影に同意していた場合 恋愛関係にあれば、交際期間なら、撮影に同意してしまっても仕方がない側面はあるかもしれない。それだけにやはり、重い罪には問いづらいのか。 「法的にはリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が定める『公表罪』または『公表目的提供罪』に該当する可能性があります。公表罪であれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。公表目的提供罪に該当すれば1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります」 「公表罪」は、インターネット上での性的データの公表、ばらまき行為、「公表目的提供罪」は、LINEなどで拡散を目的として特定少数者に性的データを提供する行為などが該当する。 ◇交際相手に同意なく撮影されていた場合 この場合は、盗撮も含め、撮影自体が無断で行われており、より重い罪が科されそうだが。 「このケースではリベンジポルノ防止法違反のほか、性的姿態撮影等処罰法(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律)が定める『撮影罪』または『提供罪』に該当する可能性があります。撮影罪は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。 提供罪は①性的画像を特定・少数の者に提供した場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金②性的画像を不特定・多数の者に提供または公然と陳列した場合、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金またはその両方となります。公開範囲が広いほど罪が重くなります」 ※拘禁刑:懲役と禁錮を一本化して新たに創設された刑罰で、令和7年6月1日から施行される。 ◇脅されて性的データを提供してしまった場合 このケースはより犯罪色が濃い印象だが、やはり罪はそれだけ重くなるのか。 「リベンジポルノ防止法違反のほか、脅迫罪や強要罪に該当する可能性があります。脅迫罪は2年以下の懲役または30万円以下の罰金。強要罪なら3年以下の懲役となります。 複数の罪を犯した場合、それらは併合罪として扱われることがあり、そうなると次の量刑が上限となります。 懲役は①最も重い刑を1.5倍したもの、②それぞれの刑の上限を合計したもの、のうち軽い方。罰金はそれぞれの刑の上限の合計となります」 「リベンジポルノの被害に遭った」と一口に言っても、そのやり口、悪質性、拡散の範囲などによって罪の重みには違いがあるということだ。 本庄弁護士はさらに、「上記のほか、撮影対象者が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)に違反する可能性があります」と補足した。 リベンジポルノによる被害者は若年層も少なくなく、不用意な送付などにより性的データが流出するケースも目立っており、十分な注意が必要だ。