被団協の田中熙巳さん、ノーベル平和賞の講演原稿で「こうだったよねと相談する人がいないのがさみしい」
ノルウェー・オスロで10日に開かれるノーベル平和賞授賞式への出発を前に、「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」の役員らは2日、東京都内で記者会見した。式で講演を行う田中熙巳・代表委員(92)は「核兵器廃絶に向けて大きな運動が起こるきっかけになってくれたら良い」と意気込みを語った。 【写真】第2回国連軍縮特別総会で「ノーモア・ヒバクシャ」と演説する山口仙二さん(1982年6月)
長崎で被爆した田中さんはともに被団協を支えた多くの被爆者たちが亡くなっていることに触れ、「(講演の原稿を)書くときに『こうだったよね』と相談する人がいないのがさみしい、悔しい思いがした」と振り返り、「原爆の非人道的な被害について訴えたい」と抱負を述べた。
広島で被爆した児玉三智子・事務局次長(86)は現地でノルウェー放送協会からインタビューを受ける予定。児玉さんは会見で「私たちは世界で唯一の戦争被爆国の被爆者。戦争を知らない人に原爆被害について継承するのが使命だと思う」と話した。
被団協によると、健康上の理由から1人が欠席となり、オスロには被爆者ら30人の代表団が赴く。大半が8日に出国し、式や晩さん会に出席するなどして、13日に帰国する。