欧州から帰還で実感、新スタが「すごくいい」 万能戦士が求めるビッグクラブへの第一歩【インタビュー】
川辺駿が3シーズンぶりに広島へ復帰…目を引く「全員の守備意識の高さ」
サンフレッチェ広島はJ1リーグ第34節を終え、首位に立つ。シーズンもラスト4試合、2015年シーズン以来の優勝も現実味を帯びている。ミヒャエル・スキッベ監督が率いて3シーズン目は、前半戦から負けが少なく粘り強い戦いを見せてきたが、後半戦になるとクラブ新記録となる同一シーズンのリーグ7連勝を記録するなど、勝ち切れるチームに変貌してきた。その原動力の1人が、今夏に欧州でのプレーから復帰したMF川辺駿だ。ボランチからチームに勢いを与える万能型MFに、広島の強さの秘訣を聞いた。(取材・文=轡田哲朗/全4回の1回目) 【写真】「え!? 高校生!」 元広島選手の息子、日本の名門校入学「日本代表目指すのかな」 ◇ ◇ ◇ 川辺は地元・広島の出身で下部組織から育ってトップチーム昇格。ジュビロ磐田への期限付き移籍も挟みながら活躍して2021年夏にスイス1部グラスホッパーへ移籍し、ベルギー1部スタンダール・リエージュでのプレーを経て、今夏に3シーズンぶりとなる広島復帰を果たした。 「(今夏に)入る前は、試合結果は追っていたけど全試合を見られていたわけではないので、詳しい状況は知らないですが」と前置きしながらも、川辺は好成績の理由を「いろいろと要因はあると思いますが、スキッベさんをはじめチームに一体感がある。個人の能力、できるプレーやフィジカルの強さを見ても、いい選手がいるなと。スタートの11人だけでなく、18人、20人とJ1上位で戦えるレベルのチームだと思うし、試合は90分だけど、その中で誰が出ても強度を落とさずに違った選手の特徴を出せるのがチームのいい部分だし、結果が出ている要因だと思う」と話す。 その成績を見れば、34試合終了時点で66得点と1試合平均で約2点という攻撃力に目が行く。しかしながら、川辺は細部を見た時にはむしろ違う部分を好調の要因に挙げた。 「チーム全体の守備意識、うしろが人に強くて1人で守れる、1対1の局面を守ってくれるという前提でプレーできている。うしろの選手が頼りになるし、前の選手がプレッシャーをかければうしろが取ってくれて、また高い位置から攻撃できるというのを試合中に繰り返している。全員の守備意識の高さがすごく結果に出ていると思う」 そのうえで、得点を奪い合う競技であるという本質的な部分においてスキッベ監督から求められているのが、「サッカーに重要な、自分たちと相手のゴール前での仕事」だという。「その両局面での力強さやクオリティーはすごく発揮できていると思う」と、勝負を分けるゴール前での集中力がチームに備わっていることを自負している。