プロ野球オールスター戦がこうも盛り上がらなくなった必然
今年もNPBでは「オールスター戦ファン投票」が始まっている(締め切りは6月23日)。オールスター戦は「真夏の球宴」とも称され、日本プロ野球屈指の大イベントだ。 【写真】これまでのオールスター戦の様子 もともとオールスター戦はMLBが発祥だ。アメリカン、ナショナルの2リーグ制のMLBでは、ワールドシリーズを除いて、両リーグのチーム、選手の「真剣勝負」の機会はなかった。 1933年、アメリカの新聞社にある少年から「(アメリカン・リーグ、ヤンキースの大打者である)ベーブ・ルースさんと(ナショナル・リーグ、ジャイアンツの大エースの)カール・ハッベルさんの対決が見たい」という投書があり、これがきっかけでオールスターゲームが企画されたという。
今では、このエピソードはフィクションという見方が支配的だが、当時、同じニューヨークを本拠地としていたヤンキースとジャイアンツの選手が真剣勝負をしないことに対して、野球ファンが疑問を抱いたのは当然のことだろう。 ■かつては両リーグで「引き抜き合戦」があった 日本では1950年にプロ野球がセントラル、パシフィックの2リーグに分立した。 当然、1年目からMLBに倣ってオールスター戦が組まれるはずだったが、2リーグ分立に際して両リーグの球団がルール無用の「引き抜き合戦」をしたために、両リーグ間の対立感情が激しく、この年はオールスター戦は行われず、翌1951年からオールスター戦が行われるようになった。
このエピソードからもわかるように、両リーグの対抗心は極めて強かった。 1958年の長嶋茂雄の入団以来、巨人をはじめとするセントラル・リーグとパシフィック・リーグは、観客動員でも、テレビでの試合中継の頻度でも、大きな差がついた。 それだけにオールスター戦は、パ・リーグの選手にとっては、巨人などセ・リーグに対して実力を見せつけて、存在感をアピールする重要な機会になった。 ■「実力のパ、人気のセ」というアピール