子育て世代が嫁ターン移住 大阪でいなか暮らしフェア
都会から地方への移住を希望する人たちに有意義な情報を提供する「おいでや! いなか暮らしフェア」が28日、大阪・天満橋のOMMビルで開催される。北海道から沖縄まで約200地域が出店して3000人の入場者が見込まれ、移住促進フェアでは関西最大規模。主催する大阪ふるさと暮らし情報センターの井内秀起所長に、最近の移住事情を聞いた。キーワードは嫁ターンだ。 外資IT職から「味噌づくりの伝承者」に 熊本に移住した夫妻の決断
移住準備は夫先行型から夫婦協力型へ
同センターは大阪市中央区に拠点を構え、相談員が常駐して移住相談に応じている。ぶらりと入りやすいオープンな雰囲気だ。井内所長は「公的年金の受給開始年齢がばらけ、定年に伴う人生再スタートの時期が分散したものの、シニア世代の移住希望は底堅い」として、相談風景の変化に着目する。 「数年前までは夫がひとりひそかに移住を検討する傾向があった。そのためか、夫はあこがれのいなか暮らしへ意欲満々ながら、妻が『なんでわざわざ不便なところへ』と反対し、移住話そのものが立ち消えてしまうケースが少なくなかった。最近はご夫婦で相談にお見えになる。移住の意志や情報を夫婦で共有しながら準備を進めるため、移住が実現しやすいようになったように思われます」(井内所長) 移住に向けて、夫婦協力型への流れは、子育て世代に顕著だ。 「ごみごみした都会を離れ、わが子を自然が豊かないなかで育てたいと考える若いご夫婦が増えつつある。とりわけ妻が移住に熱心で、夫が妻に引っ張られてフェアに駆け付けるケースが珍しくない。移住のUターンやJターンにたとえ、妻が主導する移住を『嫁ターン』を呼んでいます。妻にとってはとくに自分自身が育ったり、両親とゆかりのある地域への移住であれば、家族で暮らしやすいと安心できるのではないか」(井内所長) キーワードは嫁ターン。筆者は昨年取材したいなか暮らしフェアの会場で、真剣に情報を集める多くの子育て世代ファミリーと出会った。幼子を夫に預け、出店者とじっくり話し込む妻の姿もあった。