雪の庭で春を思い描く〈花も人ものびやかな庭〉1月
長野県須坂市、ブドウやリンゴの畑に囲まれた美しいナチュラルガーデン。建築の設計やインテリアデザインを手がけていた田口勇さんと片岡邦子さんが東京から移住し、24年前につくり始めました。『趣味の園芸』連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」では、園芸ファンに愛されるショップガーデンの、センスあふれる庭づくりの秘けつに迫りつつ、庭と一緒に年齢を重ねたショップのお二人に、美しい庭を続けていくためのコツを学びます。 1月、須坂市はそれほど雪の多い地域ではありませんが、この時期は20cmほど積もって、庭は白銀の世界になります。 【上の写真】モナルダ(ベルガモット)のシードヘッド*は茎が堅く、雪の綿帽子をかぶってもしっかり直立している姿が、どことなくけなげで愛らしい。倒れてもそのままにして、春に刈り取る。 *タネをつけた花がら。ボール状にタネが残ったり 、綿毛を伴うなど、多様な姿に造形的な魅力がある。 ■1月号 連載より(一部抜粋)
庭で育まれた植物のドライを愛でる
1月は辺り一面が白銀の世界になり、「庭から音が消えたように感じます」という片岡さん。晴れた朝、人が通れる幅の園路をつくるため、雪かきをしてひと汗かきます。片岡さんたちが須坂で庭づくりを始めたころ、最低気温は今より5℃ほど低いマイナス15℃ほどで、サラサラの雪がたくさん降ったそうです。 銀色に輝く山々を眺めながら、室内では乾燥させた庭の草花でクラフトを楽しみます。 「花首がお辞儀をしないくらい十分に乾いたら、花瓶などにディスプレイ。水分の抜けた植物はシックな色に変わり、新たな表情を見せてくれます。チーゼルのトゲトゲした花がらはフェルトの起毛にも使えますよ」
球形のフォルムが際立つアリウム'サマードラマー'に、ロシアンオリーブやユーカリを添えたドライのアレンジメント。グラスを束ねたリングを鉢に。
『趣味の園芸』2024年1月号 連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」より