最後のピュアロータリー、マツダ「RX-8」がデトロイトモーターショー2003に登場、米国では$25180(302万円)~【今日は何の日?1月5日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日1月5日は、2003年デトロイトモーターショーでロータリースポーツ「RX-8」が発表された日だ。さっそく1月7日から日米で予約が始まり、同年5月には販売が始まったが、2013年には1代限りで生産を終え、ピュアロータリー車としては最後のモデルとなった。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代マツダ ロータリー車のすべて、マツダRX-8のすべて マツダRX-8の詳しい記事を見る ■デトロイトモーターショーでついに量産型RX-8発表 2003(平成15)年1月5日から開催された米国デトロイトモーターショーで、マツダのロータリースポーツの量産型「RX-8」を発表。同年5月から日米で発売が始まり、久々の高性能のロータリースポーツカーということで大きな注目を集めた。 唯一ロータリー量産化に成功したマツダが進めたロータリー攻勢 世界初のロータリーエンジン搭載の量産モデルは、1967年にデビューしたマツダの「コスモスポーツ」である。 コスモスポーツは、最高出力110ps/最大トルク13.3kgmを発揮する10A型(491cc×2ローター)ロータリーエンジンを搭載した2シーターのスポーツカー。最高速度185km/h、ゼロヨン(0-400m)加速が16.3秒という圧倒的な動力性能を誇った。ただしコスモスポーツは、非常に高価なスポーツカーだったので、5年間の累計台数は1176台にとどまった。 ルーチェ・ロータリークーペ マツダは、その後ロータリーモデルのフルラインナップ攻勢をかける。「ファミリアロータリークーペ」、「ルーチェロータリークーペ」、「サバンナ」、「コスモAP」、「サバンナRX-7」、「ユーノスコスモ」と次々と個性的なロータリーモデルを市場に投入。そして、最後のピュアロータリーエンジン搭載車となったのが、RX-8なのだ。 Zoom-Zoom第3弾として登場したRX-8 マツダは、2001年の東京モーターショーで走る歓びを追求する新しいブランドメッセージ「Zoom-Zoom」を発表。会場ではZoom-Zoomを具現化するモデルとして、第1弾のミドルクラスセダン「アテンザ(Mazda6)」、第2弾コンパクトカーの2代目「デミオ(Mazda2)」に続く、第3弾としてRX-8が発表された。 その後RX-8のプロトタイプは何回か公開されたが、ついに2003年1月のこの日、初めて量産モデルが発表されたのだ。当時マツダは、経営不振からフォードの傘下にあり、当日の発表スピーチは当時のルイス・ブース代表取締役社長兼CEOが行なった。“Mazda RX-8のように、ユニークなアプローチが一目瞭然なクルマはどこにも見られなかったはず。このクルマは、その存在自体がユニークさを物語るクルマです。RX-8はユニークなZoom-Zoomサウンドを持つ、世界で唯一のロータリーエンジン「RENESIS」を搭載したクルマである”と述べた。 5月に市場投入されたRX-8の米国での車両価格は、標準グレードの$25,180からフル装備で$32,000に設定された。当時の為替レートが1ドル=120円だったので、日本円換算では302万円~384万円となる。 唯一のロータリー車として存在感を示したRX-8 RX-8は、コンパクトな2ドアクーペだったRX-7から、ユニークな観音開きの4ドアクーペに変身。高性能スポーツカーらしいダイナミックな曲線基調の躍動感あるボリューミーなフォルムが特徴だ。 心臓部のロータリーエンジンは、RX-7に搭載された2ローター「13B」型をコンパクトにした高出力・低燃費の「RENESIS」へと進化。排気ポートと吸気ポートの両方をサイドハウジングに配置した構造で、ロータリーらしい優れたレスポンスとスムーズな走りを実現した。 3つのグレードが用意され、標準グレードとタイプEが最高出力210ps/最大トルク22.6kgmを発揮するエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ、高性能グレードのタイプSが250ps/22.0kgmを発揮するエンジンと6速MTの組み合わせ。車両価格は、標準グレードが240万円、タイプEとタイプSが275万円に設定された。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値でそれぞれ280万円と321万円に相当する。 先行予約の受注は3ヶ月で5000台を超えて好調に滑り出した。その後、販売台数は右肩下がりになったものの唯一のロータリー車として存在感を示したが、残念ながら2013年に生産を終了した。 21世紀に入り、環境問題やエコがクローズアップされ始めた中で、機構的にどうしても燃費がレシプロプロエンジンに劣っていたことがロータリーエンジン撤退最大の理由である。 ・・・・・・・・・・ マツダは、2023年11月にロータリーエンジンを発電機として使うコンパクトSUV「MX-30 Rotary-EV」の市場投入でロータリー復活を果たした。発電機用エンジンとしての復活だが、ロータリーエンジンを駆動用に使うピュアロータリー車出現の噂も出ている。本当の意味でのロータリーエンジンの復活に期待したい。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純