ランニング時に心拍数を深読みしすぎてるかも?心拍数ゾーンにこだわりすぎないほうが良い理由
ゾーン3も有酸素運動であり「楽」でもある
ゾーン2とゾーン3の区別が恣意的なものであることを理解したうえで、ゾーン2とゾーン3を連続したものとして見ると、さらにわかりやすくなります。 ゾーン2の低いほうでは、ランニングやペダリングの速度がゆっくりになり、消費カロリーが減り、ほとんど運動していないように感じます。 ゾーン3の最高範囲でも有酸素運動はまだたくさん行なわれており、ミトコンドリアや毛細血管、その他あらゆるものに恩恵をもたらしていますが、より短い時間で行なっています。 時間あたりの消費カロリーを重視するなら、ゾーン3が効率的と言えるでしょう。 サイクリストはこの範囲のトレーニングを 「スイートスポット 」と呼ぶことがあります。疲労を蓄積させることなく、よりハードなトレーニングのメリットを享受できるからです。 ランナーの場合、ゾーン3にはテンポラン(閾値走)の一部、レースペースランの一部、速度を上げた「イージー 」ランの一部が含まれます。 ゾーン3ですべての効果が得られるなら、ゾーン2が存在する意味は何でしょう? それはトレーニングの全体像によります。 多くのトレーニングをこなすなら、走行距離を増やす一方でエネルギーを節約するために、その一部をゾーン2にしたほうがいいでしょう。 しかし、週に3回しか走らないのであれば、その2、3回をすべてゾーン3で走っても、それほど消耗することはないはずです。
心拍数を深読みしすぎてはいけない
心拍計に対する私のささやかな恨みについて話を戻していきましょう(これは心拍計を愛すればこその恨みです。私はランニングするとき心拍数を記録していますし、いろいろな意味で心拍計は役立っています)。 心拍数はトレーニングの強度だけでなく、夏の暑さにも反応し、同じ努力でも高い数値を示すことが…。 また、疲労度が高ければ高い数値を示し、走りはじめに比べて走り終わりのほうが高い数値を示し、脱水気味だと高い数値を示すこともあります。 レースで走るときは、少し緊張しているせいで、スタート時の心拍数が予想以上に高くなることもあるようです。 そして、自分のゾーンが正しく設定されているかどうかという問題もあります(もちろん、ゾーンの境界線は便宜上設定されていることを承知のうえでですが)。 もし全力で走るレースや一連のヒルスプリントをしたことがない場合、Apple Watchはユーザーの最大心拍数を記録したことが無いかもしれません。 ですから「36歳だから最大心拍数は184に違いない」というのは、計算式から数字を抜き出しただけ。 自分の足のサイズを実際に測らずに(あるいは靴を履いてみずに)、身長180cmの女性の平均的な靴のサイズに基づいて靴を買うのと同じようなものです。 「楽」なランニングに出かけて、心拍数がずっと「ゾーン5」にあったとしたら、それは「その人のゾーン5」ではありません。 というわけで「ゾーン2」のトレーニングをしていて心拍数がゾーン3に入ったとしても、それが正確かどうかはわかりません。 たとえ正確であったとしても、呼吸や会話がほぼ普通にできていれば、ゾーン3の有酸素運動から十分な効果を得ていることになります。 Source: ResearchGate
春野ユリ