鬼才・樋口毅宏と『LEON』がまさかのコラボ。本誌で連載小説がスタート!
「どれだけひどい攻撃を主人公に仕掛けるか(笑)」
── 今作のテーマは編集長が考えたそうですね。 石井 樋口さんの世界観である“ハードボイルド”は僕もすごく好きで、今回はぜひ殺し屋を題材にしてほしいと、希望としてはじめに樋口さんにお伝えしました。当初から映像化も目論んでいたこともあって、スーパーフィルムス代表の原さん、LEONのアートディレクターの久住さんとともに、ざっくりしたプロットも勝手に考えちゃいまして(笑)。実際の作品はプロット通りではないですが、ヒントにはしていただいたかも。 樋口 そうですね。最初に打ち合わせを何回かして、相談しながら書き進めていきました。ただ、殺し屋を主役にした小説や映画ってたくさんあって、フォーマットも出来上がっているので、どうしたら今までの作品と違うパターンの物語ができるか? というのはずっと考えながら書いていました。昨年末にデヴィッド・フィンチャー監督の『ザ・キラー』という暗殺者が主人公の映画を見たんですが、かぶってたら嫌だな~って思って劇場でドキドキしました(笑)。
── 今作は4人の殺し屋が登場しますが、キャラクターはどうやって考えたのでしょう? 樋口 まず女性は絶対1人入れようと思って。あとは主人公を“大きい星”(恒星)と考えて、他のキャラクターは衛星のように周りに置いていきました。これは、子供の頃から気づいていた法則なんですが、主人公は正統派で、周りにトリッキーなキャラクターを置いていくと自然と話が回っていくんです。 『巨人の星』の星 飛雄馬と星 一徹、花形 満、『北斗の拳』のケンシロウとラオウの関係性もそうだし、『ドラゴンボール』『キン肉マン』もみんなそう。主人公って実は個性がなくて、周りの強いキャラの受け止め役なんです。人気投票をやると、意外と主役よりも最強の敵とかキャラの強い奴が1位、2位になったりするんですよね。 あとは、どれだけひどい攻撃を主人公に仕掛けるか(笑)。作家の藤本義一さんがまだご存命だった頃に「主人公を困らせると物語は面白くなる」とおっしゃっていて、すごくヒントになりました。本当にその通りで、もう無理だろうってくらい主人公のぶち当たる壁が高く、分厚くなるほど面白い展開になっていくんです。