大人気軽自動車がBEV化、ホンダ「N-VAN e:」の劇的進化。見た目や利便性はそのままだが走りは別物に。
■変更点の多い運転席まわり そんなN-VAN e:だが、今回は4人乗りのe: L4を試乗した。室内は、ドア内張りや荷室の壁などに、縦のビードデザインを採用。ガソリン車の内装と比べ、より広さを感じるとともに、荷物の積み卸しなどでできるキズも目立ちにくそうな印象だ。 また、エアコン操作部やパワーウインドウなど、運転中に操作頻度の高いスイッチ類をインパネ中央部に集中配置。視線や意識を可能な限り運転に集中できる工夫も施している。さらにメーターには、N-BOXと同じ7インチTFT液晶タイプを採用。大きくシンプルな表示により、運転に必要な情報をスムーズに確認することを可能とする。
N-VAN e:では、シフト操作の方式も変更し、エレクトリックギアセレクターを採用。最近のホンダ車に多いスイッチ式だ。「D/B」を1回押せば通常の前進、もう一度押すと下り坂などでの減速度を上げるBモードに切り替わる。また、後退するときは「R」を引き、駐車時は「P」を押す。ガソリン車に採用されているオーソドックスなバータイプのシフトレバーに慣れていると、最初は操作に戸惑う場合もあるだろう。だが、慣れれば、スイッチを押すだけなので、よりイージーに、素早いシフト操作ができるはずだ。
ギアを通常前進モードの「D」に入れ、アクセルを踏み込んで発進。今回の試乗メニューのひとつ、バンクもあるオーバル状の高速周回路へ入る。 直線路を徐々に加速していくと、あきらかに車速の伸びがガソリン車よりいい。かなりスムーズな加速感を実感できるのだ。筆者は普段、ターボ・FF車のN-VANに乗っている。また、今回は、事前にNAエンジン車にも試乗したが、N-VAN e:の発進加速は、そのいずれとも違う。車両重量は、バッテリーの搭載などで約200kg重くなっているのだが、BEVのほうがかなり余裕のある感じだ。
■N-VAN e:のパワートレインについて ちなみに、N-VAN e:が採用するパワートレインのスペックは、e: FUNやe: L4の場合で、最高出力47kW(64PS)、最大トルク162N・m(16.5kgf-m)。対して、筆者も乗るガソリン・ターボ車は、最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104N・m(10.6kgf-m)/2600rpm。NAエンジン車は、最高出力39kW(53PS)/6800rpm、最大トルク64N・m(6.5kgf-m)/4800rpmだ。