大人気軽自動車がBEV化、ホンダ「N-VAN e:」の劇的進化。見た目や利便性はそのままだが走りは別物に。
3タイプのパワートレインで、最もスペック的にプワー(非力)なのはやはりNAエンジン車。今回の試乗でも、例えば、50km/hから100km/hまで車速を伸ばした際、加速の伸びは最も遅かった。だが、ターボ車も、最高出力ではBEV版と同じスペックだが、加速のスムーズさではN-VAN e:のほうが上だった。おそらく、N-VAN e:は最大トルクをかなり太くしているためだろう。 ただし、ホンダによれば、発進などであまり急激な加速をすると、多くの荷物を積載しているときに、荷崩れが起こる可能性もあるという。そのため、発進時のアクセル応答性は、一般の乗用BEVなどと比べると、やや抑え気味に設定。そのぶん、荷物積載時でもリニアでコントロールしやすい仕様としているそうだ。このあたりは、やはり配送業など商用ユースが前提のモデルらしい点。走行性能にも、一般ユースとは異なる独特な味付けを施しているといえる。
高速周回路では、ゆるいカーブを100km/h程度の車速を維持して走行してみたが、車高の高い軽バンなのに、高速安定性が抜群に良かった。これは、床下にバッテリーを配置したことで、車体の重心が低くなっていることが好影響を生んでいるのだろう。また、N-VAN e:は、タイヤを12インチから13インチに大径化したほか、車両重量増に合わせてサスペンションの設定も最適化。これらの効果もあるのだろう、路面からの突き上げ感や細かい振動なども感じづらく、乗り心地も向上していることが体感できた。
■ワインディングでの走り 今回の試乗メニューには、ワインディングを模したコースの走行もあり、コーナリング性能なども体験できた。とくに印象深かったのは、コーナー進入で減速する際、ブレーキペダルを踏んだぶんだけリニアに車速が落ちていく感じだったこと。ガソリン車よりも車両重量が重いわりに、ブレーキの操作性はかなりいい。 なお、N-VAN e:では、これも車両重量増に合わせて、ブレーキを12インチから13インチに大型化するなどで制動力を強化。また、電動サーボブレーキを採用することで、ブレーキペダルの操作に対して自然な減速フィールを味わえる特性としている。これらにより、減速時のコントロール性がかなり良好なのだ。