いつの間にか深刻化していた「異常気象」の恐怖
2024年1月1日、能登半島地震が発生した。大地震はいつ襲ってくるかわからないから恐ろしいということを多くの人が実感した出来事だった。昨年には南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。 【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです) 私たちは大災害が発生するたびに法を改め、ハードを備え、対策やシミュレーションを重ねてきた。それでも「想定外」が繰り返されるのが自然現象の怖さでもある。日々変わる天候や寒暖に加え、私たちの周りは絶えず変化し続けていることは忘れてはならない。 首都圏の物流の要である東京湾の湾口には「東京海底谷」と呼ばれる水深500メートル以深の深海域が広がる。海洋の専門家である東海大学の山田吉彦教授によれば、東京の海もまた変化しているのだという。伊豆諸島であまり見られなかった沖縄の県魚・グルクンが釣れるようになり、200キロ級のクロマグロも姿を見せている。 温暖化の影響でマグロ類の餌となるグルクンやイワシが北上し、それをマグロが追う。単に「魚のことでしょ」と思うかもしれない。だが、激甚化・頻発化する近年の気象災害の背景には地球温暖化の影響があると考えられている。 世界気象機関(WMO)によれば、世界で洪水や暴風、干ばつといった気象災害の発生件数は1970年からの50年間で5倍に増加した。気候変動によって気象や降水量に極端な現象が増え、その深刻さは増大していくと予想されている。 世界気象機関のターラス事務局長は「温暖化の影響で異常気象が増している」と警鐘を鳴らしているが、私たちが暮らす環境は変化を続け、自然災害の危険度が上昇していくリスクがつきまとう。