あこがれはあこがれられへ(後編)(シーホース三河 久保田義章)
川面氏は大学を卒業後、松下電器で8シーズンをプレーした後、地元福岡に身を移す。 B2ライジングゼファーフクオカの前身であるライジング福岡の創設にも寄与し、発足後の三年間をキャプテンとしてプレーした。 現在は九州共立大学のバスケットボール部監督として、後進の育成に励んでいる。 その川面氏のプレーを見た久保田少年はプロ選手になることを決意し、彼の指導を直接受けるべく、九州共立大学へと進学した。 憧れの選手とともに高みを目指し、2019年に京都ハンナリーズへ特別指定選手として加入、念願のプロバスケ選手の一員となった。 シーホース三河が「一度は入団してみたいチーム」だった久保田にとって、今シーズンの移籍は一つの目標であったといえるが、おもしろいことに、同じような経緯を川面氏も辿っていた。 以下は過去の川面氏のインタビュー記事を抜粋したものである。 ” 全日本実業団の名門チーム・パナソニックのスピード感あふれるプレースタイルに魅了され、「いつかあそこでプレーしたい!」と夢を抱いた。学生時代はひたすらバスケに打ち込み、オファーを受けて念願のパナソニックに入団。採用される選手は年間1人か2人、関東の大学から選ばれることが多いなか、異例ともいえる抜擢だった。「ユニフォームが届いたときはめちゃめちゃうれしくて、そのまま着て寝ました」と笑顔で語る。”( https://www.e-avanti.com/18509 ) 「やっぱりポイントガードなので、ドリブル…のうまさ…とかって言うと自分がミスしたりしたらちょっと…恥ずかしいんですけど(笑)。でもポイントガードはドリブルをたくさんつくポジションなので。やっぱりドリブル捌きとかですかね。あとはリングにアタックする姿とかじゃないかな。」 川面氏の背中を追ってプロとなった久保田を、いまは子どもたちが見つめている。 試合を見にきた子どもたちに自身のどんなプレーを見てほしいか、という問いに迷いながらこう答えた久保田。 はっきりと、自信満々に、ではないところに好感が持てる。 子どもたちが憧れを抱くとすれば、それは見せつけるようなプレーではなく、愚直に勝利に向かう姿勢なのだと思うから。 強くあり続ける姿が子どもにとってのヒーローなのだ。 「(今シーズンの目標は)まずはもちろんCSに出て、優勝っていうのは大前提。日々改善点をしっかりとチーム全員が理解して、強くなるための改善を繰り返していって、『ガチ。』でみんな頑張っていくと思うので、三河の青援に応えるために、優勝目指して頑張りたいと思います。」 (了)
石崎巧