米国債の代替、投資家に安全な避難場所提供-ルービニ氏の新ETF
(ブルームバーグ): 2008年の金融危機について事前に警告したことで知られる著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は、トランプ次期米大統領のインフレ促進的な政策を踏まえ、ボラティリティーが高くなる世界において米国債の代替となる避難先を投資家に提供しようとしている。
ルービニ氏は、トランプ氏の関税計画は「穏やかなバージョン」であっても物価安定を脅かすため、株式6割、債券4割の「60・40」ポートフォリオは再び痛手を覚悟しなければならないと指摘した。
ドルの価値低下や過剰債務リスクなどについて長年警告してきた同氏は、自身の警告に対する解決策となる上場投資信託(ETF)を設定した。同氏のETF「アトラス・アメリカ・ファンド(USAF)」は20日に取引を開始した。
目論見書によると、同ファンドは気候変動に強い不動産投資信託、インフレ連動米国債、地方債、社債、金信託などに投資する。 経費率は75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となる。
貿易から米連邦準備制度の独立性まで、あらゆる面で慣例を打ち破ることを公約している次期米大統領の下で、金融市場は不確実性の高い新時代に直面する。
こうした状況は、株式相場が下落した場合に備えた米国債への分散投資の効果を損なうリスクがある。今の時代のポートフォリオヘッジには、新型コロナウイルスのパンデミック期と同じような難しさがある。
ルービニ氏は「中期的には、米国および先進国のインフレ率は徐々に上昇するだろう」とした上で、「インフレまたは巨額の負債や赤字を理由に長期金利が上昇する可能性がある世界では、ディフェンシブな資産は損失を生む。時にはリスク資産よりも大きな損失を生むこともあり得る。このような世界では、ヘッジの代替策を見つけなければならない」と語った。
ルービニ氏の新ファンドは、アトラス・キャピタル・チームにとって初のETFになる。アトラス・キャピタル・チームは、ルービニ氏が共同設立したフィンテック企業で、制御不能なインフレ、気候変動、市民社会不安などの高リスク要素から身を守るための投資戦略の開発を支援している。