半導体業界は大騒ぎなのに…のんびりした韓国政府「米輸出統制の影響小さい」
広帯域メモリー(HBM)と先端半導体装備を中国などに輸出することを防ぐ米国の輸出統制措置に対し韓国政府は「影響はわずかだ」という立場だ。だが長期的には対中事業の不確実性を拡大しかねない点で楽観するには早いという指摘が出る。 韓国産業通商資源部は3日に参考資料を通じ「今回の措置によりHBMを生産する韓国企業にも多少影響がありえる」としながらも「しかし米国が認める輸出方式に転換すれば影響を最小化できる見通し」と明らかにした。HBMにグラフィック処理装置(GPU)などをパッケージングする人工知能(AI)チップ形態で輸出すれば米国の統制網を抜けられるという話だ。 また、対中半導体装備輸出を統制することと関連し産業通商資源部は「統制対象が米国の国家安全保障の観点で重要性が大きい先端水準の半導体装備と設定されており、これと関連した韓国企業は少数であると把握され影響は大きくない見通し」と明らかにした。「既に認定エンドユーザー(VEU)承認を取得した中国内の韓国企業に対しては今回の措置と関係なく半導体装備輸出が可能だ」というのが産業通商資源部の説明だ。昨年米国政府がサムスン電子とSKハイニックスの中国内半導体工場をVEUに指定したためこれら工場への半導体装備搬入は影響がないという話だ。 韓国と違い日本やオランダなどが半導体装備輸出統制免除国に指定されたことと関連しては、「日本などはすでに米国と同等な水準の半導体装備輸出統制を(自主的に)施行しており、韓国と日本などに対する実際の統制効果は似ている」と産業通商資源部は評価した。 だが業界では韓国半導体企業に悪影響を与える恐れがあるとの懸念が大きい。長期的にHBM市場がもっと大きくならなければならない状況で今回の措置により市場が萎縮しかねない。HBMの中国輸出が制限されその穴を中国企業が埋めるだろうという見通しも出ている。ロイター通信は半導体業界消息筋の話として「サムスンのHBM売り上げのうち30%が中国市場で出る。米国の今回の統制により影響を受けるだろうとの観測が出ている」と伝えた。 第2次トランプ政権が発足すれば米国の輸出統制措置が強化される可能性も大きい。韓国政府の判断が楽観的という指摘が出る背景だ。韓国貿易協会のチャン・サンシク動向分析室長は「短期的に売り上げ減少が現れるかもしれない。長期的に世界的半導体供給網再編が避けられないとみられるだけに韓国企業は新規市場を開拓し技術革新を通じて競争力維持にもっと努力しなければならない」と助言した。 産業通商資源部は4日に半導体装備業界との懇談会を開催して今回の米国政府の措置の詳細内容を共有する予定だ。また、韓国半導体産業協会(KSIA)と貿易安全保障管理院(KOSTI)に輸出統制相談窓口を開設して運営する。産業通商資源部のチョン・イェ貿易安全保障政策課長は「韓国政府と米国政府とも今回の措置の影響に対して鋭意注視し両国企業が予想できない被害を受けないよう努力することにした」と話した。