ビットコイン半減期──マイニング業界に「弱肉強食」の時代到来
何がなんでも成長
では、なぜこのような事態になったのか? そしてなぜマイナーたちは半減期に備えようと躍起になっているのか? ビットコイン半減期は、簡単に言えば、新しいビットコインの入手やマイニングをより困難にする。半減期はビットコインのインフレ圧力を軽減するためのビットコインネットワークのコードにあらかじめ設定されたものであり、ビットコインブロックのマイニングに成功した場合の報酬が半分になる。 暗号資産(仮想通貨)に詳しくない人のためにわかりやすく説明しよう。金や石油のような有限の天然資源を地中から採掘することを考えてみてほしい。採掘すればするほど、残りの資源は少なくなり、資源の価値は上がるが、採掘コストも上がる。 これをビットコインと暗号資産マイニングに置き換えたものが半減期であり、需給サイクルが希少性主導の資産価値を生み出す典型的な例だ。ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトが信じていたことであり、実際、ビットコインは金よりも希少価値が高いかもしれない。 過去を振り返ると、半減期はビットコイン価格を飛躍的に上昇させ、投資家に莫大な富をもたらした。しかし、マイナーたちにとっては難しいイベントだ。 2020年の3回目の半減期では、ビットコインの価格は数カ月で約8500ドルから1万8000ドル近くまで上昇したが、ブロックのマイニングに成功した場合の報酬は12.5BTCから6.25BTCに引き下げられた。 次の半減期では、さらに3.125BTCに下がり、マイニングの競争は一層激しくなる。 以前の半減期では、大規模なマイナーはそれほど多くなく、上場しているマイナーはさらに少なかった。2021年の強気相場が始まるまでの間に、多くの企業がこのセクターに参入し、ピーク時には90%近い利益率を得た。ビットコイン価格が7万ドルに近づくにつれ、マイナーはますます利益をあげ、その多くはより速く成長するために出費を重ねて負債を抱えた。 伝統的な金融会社をはじめとする投資家は、マイナーの成長を促進するために現金を惜しみなく提供し、猛烈な支出と成長を奨励した。 2022年の弱気相場で、そのすべてが崩れ去った。採算は悪化し、いくつかの大手マイナーは破産を申請。資本市場へのアクセスは遮断された。現在も操業を続けているマイナーの多くは、かろうじて生き延びている状態で、次の強気相場が彼らを救ってくれることを待っている。 2023年のビットコイン価格の上昇は、主にアメリカの規制当局がブラックロック(BlackRock)などによるビットコインETF(上場投資信託)を承認するという楽観論に煽られたもので、マイナーは多少助けられている。 しかし、ビットコインネットワークのハッシュレートは史上最高を記録し(競争が激化している証拠)、ブロックのマイニング難易度も過去最高を記録、エネルギー価格の高騰、規制当局の厳しい監視、そして依然として枯渇した資本市場などマイニングの状況は依然として厳しい。