「子どもに対して“待て”ができる大人でありたい」はなわが3人の子どもを怒らない理由
「僕が子どもに育てられている」3人の子を育てる中で気づいたこと
――子育てをする中で、はなわさんの中で気づいたことはありますか。 はなわ: 子どもがたまに、僕が言ったことを口にしてるときがあって、「なんでそれ知ってるの? その時、いたっけ?」って聞いたら、「うん、聞いてた」と言うんですよ。子どもは意外と親の言動を見ているんですよ。だから、1対1で子どもにガミガミ言わなくても、親の近くにいるだけで、それが教育になってるんですよね。奥さんとの会話の仕方も、外でご飯を食べた時の店員さんに対する態度も、先輩や後輩に対する態度も、全部を子どもが見ている。悪いモデルにはなりたくないので、常に息子たちに見られていると思いながら、いろんな方と接しています。そういう意味では、僕が子どもに育てられているとも言えるかもしれないですね。 ――子どもたちそれぞれの得意不得意や進路について、助言することはありますか。 はなわ: それを見つけてあげるっていうことも、親の役目の1つかなと思うんですよね。長男は元々ちょっとシャイな性格だったんで、何か習い事をやらせたらいいのかなと思っている時に、オリンピック柔道金メダリストの吉田秀彦さんに出会ったんです。吉田さんに相談したら、「道場に1回連れておいでよ」と言ってくださった。それで息子を連れて行ったら、本人が「やりたい」って言った。はじめて自分の意志で何かをやりたいって言ったんですよね。びっくりしたんですけど、通い始めたら1年で東京チャンピオンになれました。柔道に出会えたことに感謝ですよね。今、長男は柔道に恩返しするために、大学で体育実技の講師をしています。 次男もお兄ちゃんがやってるから柔道をやりたいと始めましたけど、高校ぐらいから柔道をやっているのを見てて楽しそうじゃない感じがしたんですよ。「柔道好きなの?」って聞いてみたんです。そしたら「いや、好きとか嫌いとかわかんないし。なんでやってるのかもわかんない」って返ってきました。好きでもないことを続ける必要はないから、ちょっと考えてみようよと、少し時間を取ったら、やっぱり「もう柔道辞めようと思う」って言ってきたので、辞めることにしました。そこに気づけて良かったと思っています。 三男も幼稚園の時から柔道をやっていたんですが、小学校の頃にはもうやめるのかなと思うくらい何もしない時期がありました。練習に行ってるのに、道場で遊んでるだけで何もやらない。試合もぽろんと負けるし。でも、小学校高学年ぐらいから楽しくなったようで、もう柔道行きたくしょうがないっていう時期が来た。そうしたら、今、みるみる力をつけてきています。 なかなか難しいことかもしれないですが、おもしろいと子ども自身が発見する、好きだと気づく、その瞬間まで、親が頑張って待つのが大事だと思いますね。あとは人間、誰しも向き不向きがあるので、そこに気づいてあげるのも親の仕事かなと思います。