イーサリアム2.0は、DeFiをどう変えられるか
バリデーターの中央集権化
2022年9月にプルーフ・オブ・ステーク(PoS)メカニズムに移行したことで、イーサリアムはバリデーターがイーサリアムをステーキングできるようにし、ステーキングが大きいほど検証のチャンスと報酬が増えるようになった。このアップグレードは、ネットワーク上でレンディングやトレーディングといったユースケース向けに無数の革新的な金融ツールが作成されるきっかけとなり、DeFiにおけるイーサリアムの重要な役割を明確に強調するものだ。 ただし、バリデーターの数よりもトークンの所有権を重視すると、権力が小規模なグループに集中する可能性があり、暗号資産の持つ、分散化の精神に反する。さらに、ステーキングには32イーサリアムが必要なため、大量のイーサリアムをステーキングしたバリデーターは、ネットワークのガバナンスと意思決定プロセスに不均衡な影響力を及ぼすことができる。 これにより、特定の参加者に有利なフィードバックループが生まれ、権力と富が少数の個人の手に蓄えれられる可能性がある。 3月には、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が「怠惰なステーカー」、つまりソロステーキングではなくステーキングプールのみに従事する人々に対する懸念を表明し、中央集権化の問題がはらむ重要性が明示された。 本質的に、イーサリアムは金融サービスの設計、アクセス、および利用方法の変化を体現している。しかし、少数の組織に依存することで、リスクが生じ、イーサリアム2.0が実際にどの程度分散化されているかについて疑問が生じ続けている。
DeFiへのギアシフト
イーサリアムの中央集権化の傾向は、将来的に、規制当局との関係やネットワークの回復力の低下など、より深刻な問題を引き起こす可能性がある。最終的に、DeFiとブロックチェーンエコシステム全体におけるイーサリアムの将来は、可能な限り中央集権化を制限しながら、技術的進歩のバランスを取ることにかかっている。そして、それを実現可能にする方法は存在する。 適切に実装されれば、レインボーステーキングなどの概念により、イーサリアムの適応性がさらに強化され、中央集権化にも対抗できる。本質的に、レインボーステーキングにより、ユーザーは複数のプールと戦略に同時にイーサリアムをステーキングできるため、いわば「報酬の虹」が効果的に生成され、ステーカーは非競争的リスクを軽減し、より回復力のあるエコシステムを構築しながら報酬を受け取ることができる。 イーサリアムの検証プロセスは、「ヘビー」ステーキングと「ライト」ステーキングに分かれている。「ヘビー」ステーキングはファイナライズのための検証サービスに重点を置き、「ライト」ステーキングは取引の監視耐性に焦点を当てるものだ。 たとえば、LidoやRocketなどの流動性ステーキングプロトコルは、ヘビー・サービス・ステーキングを提供できるが、既存のステーカーはライト・サービス・オペレーターを実行することを選択できる。レインボーステーキングは、最終的にはより効率的で競争力のあるネットワークを実現すると同時に、流動性ステーキングプロバイダーの多様性を高めてくれる。ただし、実行するのは簡単ではなく、全体的なステーキング構造に混乱をもたらす可能性をはらむ。 レインボーステーキング以外にも、イーサリアムは、シャーディングなど、初期の2.0アップデートですでに導入されているネットワーク全体の進歩を活かすことができる。シャーディングはセキュリティ絡みの問題で精査の対象となっており、それがレイヤー2およびゼロ知識開発への移行を正当化しているが、だからといってこのテクノロジーを完全に放棄すべきだというわけではない。