株価との相関が低いアジア債券に注目、現在の利回りは過去最高レベルの水準
アジア債券は、世界金融危機(リーマン・ショック)の2008年とFRBの積極的な利上げによって売り込まれた2022年を除けば、おおむね年率8%前後(0%~15%の間)の収益率を残してきている。株式市場でボラティリティ(価格変動率)が高まった時にも、安定的なリターンを残してきた。特に、米国債券と比較するとアジア債券は、はるかに低いボラティリティで高いリターンを提供してきた。アジア通貨も米ドルやユーロなどと比較してボラティリティが低いという特性がある。
そして、レポートは「過去10年間の経済改革と発行体の質の向上により、アジアの債券投資はますます魅力的になっている」とする。「例えば、アジアのハイ・イールド社債は、米国のハイ・イールド社債よりも270ベーシスポイント(1bp=0.01%)以上の高い利回りを提供している(2024年6月末時点)。さらに、利回りの質の尺度としてデュレーション(債券の金利変動に対する感応度の尺度)あたりの利回りを見ると、その差はさらに顕著で、アジアのハイ・イールド社債は340bpである一方、米国のハイ・イールド債券は94bpを記録し、その差は3倍以上」として、アジア債券の高い魅力を伝えている。
レポートでは、「アジアは域内の国・地域によってその経済や格付けのプロファイルが異なり、金利サイクルも同期しておらず、現地通貨も変動しているため、債券の活用機会はダイナミックに広がっている」と、アジア債券の魅力を強調するが、その市場で安定的な収益を確保していくためには、地域の理解が不可欠と言えることは間違いない。イーストスプリングが現地で30年にわたって培ってきた調査・運用体制は頼りになる存在の1つといえる。
イーストスプリング・マレーシアの債券運用部門の責任者であるChoong Kuan Lum氏は、「現在の市場環境下では信用スプレッドのタイトニングが進んでいるため、社債におけるより質の高い利回りの追求がポートフォリオ構築の主要テーマとなっている」と指摘し、それには銘柄選択の深い専門知識が必要となる点を強調している。現在のアジア債券の利回り水準は過去最高レベルの水準にあるため、より高い利回りを得るために質を大幅に下げる必要がない環境にあることが、足元の市場の大きな魅力になっている。(グラフは、主なアジア債券ファンドの過去3年間のパフォーマンス推移)
ウエルスアドバイザー