来年の3月で退職して失業手当を受け取る予定ですが、同僚には「再就職手当の方がよい」と言われました。もらえる額や期間は異なるのでしょうか?
退職後に受け取れる給付の一つとして「失業手当」があります。一方で、失業手当の受給よりも「再就職手当」のほうがいいと聞いたことがある方もいるでしょう。どちらがいいのかを判断するためには、それぞれの違いを知っておくことが大切です。 受給条件や内容を知ったうえで、自分が今後どうしたいのかを決めるといいでしょう。今回は、失業手当と再就職手当の違いや内容についてご紹介します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
再就職手当と失業手当の違いとは
失業手当は、失業保険を利用して受け取れる「基本手当」のことを指します。退職後すぐに就職せず、ハローワークで手続きをして一定期間経過してから受け取れる給付金です。 一方再就職手当は、失業手当を受給している方が再び就職をした際に、条件を満たしていれば受け取れる給付金のことです。失業手当との併給はできないようなので注意が必要です。 ■失業手当の概要 失業手当を受けるには、以下の条件をどちらも満たす必要があります。 ・就労能力を有しているにもかかわらず、働けていない ・退職するまでの2年間で被保険者期間が最低でも12ヶ月以上ある 上記条件のように、働けるのに職業に就けない状態を「失業状態」と呼びます。あくまでも自分の能力と意思に反して就労できていない状態を指すため、以下に該当するときは失業手当を受給できないようです。 ・結婚や妊娠、出産、病気、けがなどの事情ですぐには働けない ・定年退職をして、しばらくはゆっくりしようと思っている 例えば、結婚や妊娠、出産を機に退職し、家事に専念しようと考えている方が、生活費の足しにするために失業手当を受給しようとしても、難しいでしょう。もし子育て資金が足りなかったり、退職後すぐに働けずお金が必要だったりする場合は、ハローワークではなく自治体や国の支援制度を活用しましょう。 失業手当の受給要件を満たし、ハローワークでの申請が認められると、待機期間を経てから基本手当が支給されます。原則、受給可能期間は1年間です。離職前6ヶ月分の、賞与以外の給与(月収)を合算し、180で割った「賃金日額」の5~8割の金額(基本手当日額)が支給されます。ただし、年齢ごとに基本手当日額の上限が定められているため、人によっては、上記の計算式に当てはまらない場合もあるでしょう。 ■再就職手当の概要 厚生労働省によると、再就職手当の受給条件は、以下のすべてを満たしているときです。 ・就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること ・1年を超えて勤務することが確実であると認められること ・待機満了後の就職であること ・離職理由による給付制限を受けた場合は、待機満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること ・離職前の事業主に再び雇用されたものではないこと(資本・資金・人事・取引等の状況から見て、離職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます) ・就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと ・受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものではないこと ・原則、雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること 受け取れる金額は、支給残日数が3分の2以上の場合は「残日数×70%×基本手当日額」、3分の1以上だと「残日数×60%×基本手当日額」です。ただし、計算時の基本手当日額の上限は6395円(60歳以上65歳未満は5170円)と定められています(2024年12月時点)。 失業手当は、条件を満たしていれば受け取れる「就職するまで新しい仕事を探しながら生活するための支援金」といえます。再就職手当は「離職後の早い時期に再就職をした方に対するインセンティブやお祝い金」と考えると、分かりやすいかもしれません。 どちらがより多く受給できるかよりも、自身の状況に応じて、利用できる制度を活用する方がいいでしょう。