セルビア代表での3年間の集大成、EURO2024で得た貴重な経験。驚かされたキミッヒ、ククレジャ、ヤマルらのデータとは?【喜熨斗勝史の欧州戦記】
ひとつのミスを突けるか否か
セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。“ピクシー”と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。今回は初めて体験したEUROで得たモノや、セルビア代表での新たなチーム作りへの想いなどを語ってくれた。 ――◆――◆―― ご無沙汰しております。EURO2024大会が終了し、今月9月からは早くも欧州ネーションズリーグが開幕しました。セルビア代表コーチとして、私にとって新しいチャレンジの始まりとなりました。 21年3月に同国コーチに就任。ほぼ同じメンバーで3年間戦ってきました。その集大成としてEURO2024大会に臨み、22年ワールドカップ・カタール大会とも違う空気感を味わうことができました。 欧州のトップ・トップが集う大会はひとつのミスを突けるか否か。ミスを防ぐか否か。我々は1次リーグ2分1敗で決勝トーナメントに進出できませんでしたが、良い経験になりました。こういうシビアな戦いを繰り返すことで欧州各国は、選手たちは、そして監督やコーチ陣も磨かれていくのだとつくづく感じます。 欧州のメガクラブに所属する選手たちが、何故そこに属するのかも垣間見ました。自チームだけではなく、対戦相手チームを含めて出場全チームのテクニカルビデオとテクニカルアナライズのデータをダウンロードして分析したのですが、驚くべきデータばかり。 例えばドイツ代表のDFヨシュア・キミッヒは90分間で100回ほどハイインテンシティのランニングを繰り返せていた。スペイン代表DFククレジャも延長120分間で同130回。さらに走るだけではなくボールも保持できるし、キーパスも出してくる。 個々のデータだけではなく、味方同士、相手との距離間なども細かく出てくるのでディシプリン(規律)など戦術理解度も見えてきます。優勝したスペイン代表MFヤマルも17歳ですが、大人と遜色ない数値を叩き出していました。欧州トップのクラブチームは、こうした選手たちで構成されているのです。
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