ときめきを感じない大型スーパーに通ってみたら、夫が食の大切さに目覚めた件【フランス在住・井筒麻三子】
人気YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」のMamikoこと井筒麻三子さんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。 【動画】ゆるすぎて最高!パリでピクニックしながらの夫婦のおしゃべり 引っ越す前から懸念点だなと思ってはいたのだが、新しい家の周りにはこれぞというスーパーがない。 いや、無いと言ったら嘘になるが、以前の家の近所にあったモノプリのような、大きめのスーパーとなると歩いて15分ぐらいかかってしまう。もっと小さい”Express”と言われるものであれば、徒歩約5分の場所にもあるのだが、エクスプレスなだけあって小さい店舗なので、品揃えに限りがある。 以前も同じパリ郊外ではあったけれど、今回引っ越しをしてみて、環状線の内側と外ではまるで環境が違うことがわかった。一番違うなと感じるのは、エコロジーへの意識の違い。例えば、以前は街中にもあり、すぐに捨てに行くことができたコンポストボックス(家庭でも生ゴミの再生が義務化されたことによる、生ゴミ用のゴミ箱)は、今の家の近所だと、これまた歩いて15分かかるマルシェの場所にしかない。 その意識の違いはスーパーの品揃えにも現れており、以前愛用していたモノプリは、都会派スーパーだからか意識が高く、エコロジーに配慮したアイテムが非常に多かった。けれど近所のスーパーおよび徒歩15分の大きめスーパーにも、そういったアイテムはほとんど見かけない。 近所のスーパーはどこも微妙であることを夫に話すと、「じゃあもう車で大型スーパーに買い出しに行って、買いだめするようにしよう」と言い出した。確かに、まとめ買いする方が家計的にも良いし、品揃えも豊富かもしれない。いそいそと二人で郊外の大型スーパーへ出かけた。
車で15分ほどのショッピングモールにあるスーパーは、それはそれは巨大。全部を回るのにも一苦労するほど広い。正直、品揃えはモノプリのように意識高い感じではなかったが、大家族サイズの食材、調味料も多く、ドーンとまとめ買いするにはぴったりな場所で、それまで見たこともなかったビッグボトルの油や1.5Lサイズのヨーグルトなどなど、二人で両手大荷物になるほど購入して帰った。 その後も3回ほど訪れてはあれこれ購入したのだが、ある日夫が突然「やっぱりさ、あのスーパーはもう止めよう」と言い出した。理由を尋ねると「なんかやっぱり、安かろう悪かろう感があって、行くとげんなりする」という。でも実は、私もこっそりそう思っていた。モノプリに行くのは日々の楽しみだったのに、あの大型スーパーに行くのは、なんの喜びもなかった。スーパーで買うものだって、吟味して選ぶこと、ときめきは必要なんだとわかった。 夫曰く「今までは、麻三子がマルシェやモノプリで良いものを買って、作ってくれたご飯を当たり前だと思って食べていた。でも、あのスーパーに行って、いかにそれが健康にもマインドにも大事なことなのかが、よくわかった」。 そうかそうか。私がせっせとマルシェやモノプリに足を運び、品質の良い食材を選んでいた意味をやっとわかってくれたか(笑)。でも、大型スーパー体験はよほどインパクトがあったらしく、最近はマルシェに買い物に行くのにも積極的に参加してくれるようになって、ビックリ。これぞ災転じて福となす、という感じかしら? 撮影/Yas
井筒 麻三子