水族館「あわしまマリンパーク」を再オープンさせた男。その挑戦と『ラブライブ』愛
今年7月、駿河湾の無人島に浮かぶ水族館 「あわしまマリンパーク」が再オープンした。その立役者は、放送作家の今村クニト氏。営業再開にこぎ着けるまでには計り知れない奮闘の数々があった。そして、今もなお赤字が続く中、どこに光明を見いだしているのか!? 【写真】『ラブライブ!サンシャイン!!』の装飾が施されたフェリーや園内 ■社長の報酬は1円ももらってない 今年の2月に惜しまれながら閉館した「あわしまマリンパーク」(静岡県沼津市)。駿河湾に浮かぶ小さな離島・淡島にあるこの施設は、1963年に開業して以来、水族館やイルカショー、さらには日本最大級の規模を誇るカエル館など、さまざまなコンテンツでファンを喜ばせてきた。 さらに近年では、人気アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』(2016~17年放送)の舞台として、通年多くの観光客が訪れる"聖地"としても盛り上がりを見せていただけに、突然の閉館の報は悲しみをもって伝えられた。 ところが、ファンにとって朗報だったのは、あわしまマリンパークが5ヵ月のブランクを経て早くも7月に復活したことである。舞台裏で暗躍したのは、放送作家の今村クニト氏(54歳)だ。いったい何者なのか? イルカショーで盛り上がる同施設で、本人を直撃した。 「行きがかり上、一応社長を名乗ってはいますけど、本業はあくまで放送作家なんです。こちらの事業では報酬は一切いただいていませんし」 開口一番、笑顔でそう語る今村氏。この日も、東京で放送作家としての仕事を終えた後に、本取材のためわざわざあわしまマリンパークまで駆けつけてくれた。 今村氏がなぜ、(今のところ)1円にもならない施設の経営者を買って出たのかといえば、ひとえに『ラブライブ!』シリーズの熱烈なファンだったからだという。 「昔からアニメが大好きで。いい年をしてと笑われるかもしれないですけど、『ラブライブ!サンシャイン!!』では果南ちゃん(松浦果南)推しで、偶然にも誕生日が同じだったことから勝手に運命を感じてしまったんです(笑)。 たまたま息子もラブライブファンだったことから、この10年の間に何度もふたりでここに来ました」 だからこそ、突然の閉鎖には心底胸を痛めた。 「やっぱり、息子との思い出がたっぷり詰まった場所ですからね。思春期真っただ中の息子との共通の話題としてラブライブとあわしまマリンパークがあり、ここでふたりでいろんな話をしました。そんな大切な場所ですから、閉鎖のニュースを見て居ても立ってもいられなくなってしまったんです」