バルセロナの守護神探し難航で日本人の名前も浮上...「狂わないとやっていけない」特殊性
はたして、ペーニャは"狂える"のか? ペーニャは総合力の高い好GKと言える。ラ・マシア出身だけに、バルサのGKの資質も備えている。しかし問題は、常勝とスペクタクルが義務づけられたチームでゴールマウスを守る重圧に耐えられるか。ひとつでもミスが出ると、焦りが生まれ、負の連鎖が起こる。だからこそ、フリック監督も気持ちを落ち着かせるために先発を確約したのだろう。 昨シーズン、テア・シュテーゲンの代わりに出た試合で、ペーニャは次第に不安定になっていった。すでに25歳だが、セカンドチームであるバルサBでのプレーが長く、トップリーグでシーズンを通じてプレーした経験がない。それだけに、どうしても好不調の波が出る。相手のアタッカーはほぼ動物的にその動揺を察知し、ノープレッシャーでシュートを打ってくるのだ。 「テア・シュテーゲンだったら、簡単なシュートでは止められる」 相手は勝手に"名前"にビビるのだが、ペーニャにはそれがない。言わば、名前負けだ。 クラブ内では、18歳のアメリカ代表ディエゴ・コチェンを将来のバルサGKとして見据えているという。まさにリベロGKの傑作。1、2年後だったら(現在はケガで離脱中)、テア・シュテーゲンの後釜に考えられるが......。 いずれにしろ、クラブは名手テア・シュテーゲンの不在と向き合うことになりそうだ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki