【米国株ウォッチ】本日決算発表の米建機キャタピラー、「4年連続値上がり」達成なるか
世界最大級の建機製造企業、米キャタピラー(ティッカーシンボル:CAT)は現地時間10月29日に2024年第3四半期(Q3)決算を発表する予定だ。私たちは、収益が162億ドル(約2兆4770億円)、調整後のEPS(1株あたりの純利益)が5.36ドルになると予想しており、これは市場のコンセンサス予想とほぼ一致する。販売先であるディーラーが在庫水準を低く保っていることや、全体的な建機需要が低迷していることなどにより、収益は減少すると予想されている。 ■キャタピラーの業績を左右するトレンド 好調な販売価格の伸びと堅調な需要環境から恩恵を受けた前年同期と比べ、今期は厳しい業績となるだろう。販売価格の伸びは短期的に落ち着くことが予想されている。キャタピラーは、2023年に7億ドル(約1070億円)増加したディーラーの在庫水準が、2024年には若干減少すると予想しており、このことがQ3の収益を押し下げる可能性がある。その結果、収益は前年同期比4%減の162億ドル(約2兆4770億円)程度になると私たちは予想する。営業利益率の改善も期待できず、Q3におけるEPSは前年同期比1桁台前半の成長に留まり、5.36ドル程度になると予想する。 ■直近の業績動向 キャタピラーのQ2決算における収益は、前年同期比4%減の167億ドル(約2兆5540億円)だった。事業セグメント別に見ると、「建設産業」セグメントの収益は7%減、「資源産業」セグメントの収益は10%減、「エネルギーおよび輸送」セグメントの収益は2%増だった。調整後の営業利益率は1.1ポイント改善し、22.4%となった。その結果、EPSは5.99ドル(前年同期は5.55ドル)となった。 ■目標株価 キャタピラーには逆風が吹いているにもかかわらず、株価は今年に入り33%上昇している。一方、S&P500種株価指数の上昇率は約22%に留まり、同株は市場全体をアウトパフォームしていることがわかる。これは、Q1とQ2決算における好調な業績報告によるところが大きい。特筆すべきは、キャタピラー株は過去3年間いずれの年も値上がりした数少ない銘柄のひとつであることだ(常にS&P500の年間リターンを上回っていた訳ではない)。キャタピラー株の年間リターンは、2021年に16%、2022年に19%、2023年に26%だった。 私たちは、キャタピラーの株価は適切な水準にあると考える。私たちが評価した目標株価は357ドルであり、これは記事執筆現在の株価である約385ドルより若干低い水準だ。この目標株価は、PER(株価収益率)を16倍強、2024年通期における1株あたりの予想利益を22.14ドルとして算出したものだ。PER16倍という数字は過去5年間の平均と一致する。
Trefis Team