考察『光る君へ』33話 中宮女房ズメンバー紹介!道長(柄本佑)からまひろ(吉高由里子)に贈られた檜扇にはきらめく水辺で遊ぶ、あの日のふたりが…
平維衡!
朝廷の除目で平維衡(たいらのこれひら)の伊勢守就任問題が取り上げられた。 維衡が伊勢の国司の座を巡って武力衝突をたびたび起こしていることを道長は問題視する。そんな人物を役職に起用するのは、朝廷がその行為を認めることに繋がるからだ。 平維衡! 大河ドラマファンが「おおっ」と身を乗り出す名前が出てきた。彼の父・平貞盛が大河『風と雲と虹と』(1976年)の主人公・平将門を討ち取った。平維衡は伊勢平氏の祖となり、115年後の子孫が2012年の大河『平清盛』の主人公だ。清盛なくして武士の世はなかった。そして『鎌倉殿の13人』(2022年)の時代へ。道長がここで危惧したように、血で血を洗う世界に突入してゆくのである。 この場面では、隆家(竜星涼)が、朝廷、貴族たち自身が武力を持つべきではないかと述べる。居並ぶ公卿たちを覆う不吉な予感……。
帝がお気に召された物語を知りたい
物語の続きを献上に来たまひろに「帝がお気に召された物語を知りたい」と言う彰子。 ああ、定子も入内した時に「お上がお好きなものを私も好きになります」と一条帝に言っていたなあ……と思い出す。定子のように直接ハキハキと伝えることはないが、彰子も帝のことを思っている。年月を重ねて彼女自身でゆっくり育ててきたのだ。 これまでのあらすじをまひろから直接聞き「その光る君は何をするの?」と訊ねる……。 中宮様! この作者、この先はとんでもない展開を書くんですよ!と教えてさしあげたい。 そして続きが読めると聞き、一条帝が藤壺にお渡りになる。 「あの書きぶりは朕を難じていると思い、腹が立った」 しかし、読者として心を鷲掴みにされたゆえに「皆に読ませよう」という言葉が出る。これで彰子も一条帝と同じ作品を読める……帝と中宮、ふたり共通の話題ができる!
きらめく水辺で遊ぶ、まひろと道長!
道長からまひろへの、褒美という名のプレゼント。女房の必需品、檜扇。そこに描かれているのは初めて会った日の思い出──きらめく水辺で遊ぶ、まひろと道長! そして小鳥! 道長、これを発注するに当たってどれだけ細かく指示したのかと想像させる再現度の高さ。 清い関係のままのふたりであったら、この贈り物の場面もさぞ清々しく映ったであろう……と思うと同時に、愛と欲望と執着と後悔、人々が苦しみ悶え、あらゆる業が入り混じる物語『源氏物語』を書く女は、そんなせせらぎのような恋だけを知っているわけではなかろうな!という気がする。「人間には光も影もある、複雑であればあるほど魅力を増す」──まひろと道長の関係は、この29話の台詞そのものだ。 都を練り歩く、大和・興福寺からやってきたコワモテ僧侶の一団! 「焼き払い奉る」という脅し文句で次回へ! 次週予告。 コワモテ僧侶強訴団、大内裏に乱入! 騒然とする後宮。道長と倫子の長男・頼通(渡邊圭祐)、宇治平等院の主が登場。曲水の宴、めっちゃ可愛い鳥が流れてる。道長はじめての御嶽詣。敦康親王が育ってる……元服間近? 34話が楽しみですね。 ******************* NHK大河ドラマ『光る君へ』 脚本:大石静 制作統括:内田ゆき、松園武大 演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう 出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗 他 プロデューサー:大越大士 音楽:冬野ユミ 語り:伊東敏恵アナウンサー *このレビューは、ドラマの設定(掲載時点の最新話まで)をもとに記述しています。 *******************
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