「スバルR1」はてんとう虫の再来!? 自社生産最後の軽が126万円で登場【今日は何の日?1月4日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日1月4日は、軽自動車枠よりさらにコンパクトなスバルのスペシャリティカー「スバルR1」が誕生した日だ。R1は、約1年前にデビューしたセダン「スバルR2」の小型版で、かつての「スバル360」を彷彿するスタイリングが注目された。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・スバルR1のすべて、スバル360のすべて スバルR1の詳しい記事を見る ■軽より小さいタマゴ型クーペスタイルのスバルR1 2005(平成17)年1月4日、スバルはスタイリッシュな軽セダン「スバルR2」に続いて、クーペスタイルの「スバルR1」を発売。軽枠よりさらに小さくタマゴ型の可愛らしいスタイリングのR1は、かつての名車「スバル360」の再来を思わせた。 スタイリッシュなデザインで登場したスバルR2 2003年12月に、“新しいミニカーのカタチ”というキャッチコピーとともに「スバルR2」がデビューした。全高が1520mmと低いワンモーションのスタイリッシュなスタイリングは、当時ボクシーなハイトワゴンが人気を集める中で、個性的だった。 エンジンは、排気量660ccながら当時としては珍しい4気筒エンジンで、標準的なSOHCの「グレードi」(46ps)、可変バルブ機構付DOHCの「グレードR」(54ps)、スーパーチャージャー付DOHCの「グレードS」(64ps)の3種を設定。トランスミッションは、i-CVTおよび5MT、駆動方式はFFと4WDが用意された。 また足周りについては、前後ともストラット/コイルの4輪独立懸架で、ベンチレーテッドディスクブレーキが採用されるなど軽としては贅沢な装備が目を引いた。 個性的なスタイリングと先進技術を装備したスバルR2は、技術的には高く評価されて好調な販売で滑り出したが、その後はライバル車の低価格かつ高出力戦略に遅れを取り、人気はその後頭打ちになってしまった。 スバル360の再来か? スーパースモールのR1が登場 スバルR2に続いて約1年後の2005年1月のこの日、クーペスタイルのスバルR1がデビューした。 R1は、軽枠から全長を100mm以上短縮した3285mm(規格は3400mm)で車幅は1475mm(規格は1480mm)、全高1510mmと、軽自動車の中でもよりコンパクトな異色の軽だった。 名車スバル360を彷彿させるタマゴ型のスタイリングとお洒落な内装を装備し、2人乗りのキュートなパーソナルカー「スーパースモールカー」をアピールした。スバルらしく技術にこだわり、R2同様に先進的な技術が装備された。 パワートレインは、660cc直4 DOHCエンジンとi-CVTの組み合わせ、遅れてスーパーチャージャー仕様も追加された。サスペンションも、R2と同じ前後ともストラット/コイルの4輪独立懸架、ベンチレーテッドディスクブレーキという凝りようだった。 車両価格は、126万円(2WD)/136.9万円(4WD)とやや高めの設定。当時の大卒初任給は19.7万円(現在は約23万円)程度だったので、現在の価値では147万円/160万円に相当する。 R1も個性的なスタイリングが注目はされたものの、販売は思うようには伸びなかった。もともと、スバル自身も年間1万台程度しか想定してなかったスペシャルなクルマだったのだ。当時はスズキの「ワゴンR」やダイハツの「ムーヴ」で火が付いた、背が高く居住性に優れたハイトワゴンが市場を席巻していたからだ。 結局R1はR2とともに一世代のみで、R1が累計販売台数約1.5万台で2010年4月に、R2は約13.4万台で同年8月に販売を終えた。 スバルが軽の自社開発・生産から撤退へ スバル360に始まり、数々の軽自動車の名車を投入してきたスバルだが、スバルが得意とするスポーティセダンやSUVの開発に専念するため、2008年に軽自動車の自社開発・生産から撤退することを英断。スズキとダイハツの2強に加え、ホンダ、日産・三菱も加わり、軽自動車の競争は激化するばかり、スバルの軽自動車がこの中で存在感を示すのは難しいと判断したのだ。 軽乗用車は、2010年のスバルR2&R1の生産終了で、そして2012年の2月には軽商用車のサンバーの生産終了をもって、スバルの軽自動車は完全に自社開発・生産から撤退した。ただし、自社開発こそ断念したものの、以降も一部の軽についてはダイハツからのOEM供給車で販売は続けている。 ・・・・・・・・・・ 最近の軽自動車は、居住性や使い勝手の良さが優先されるので、1970~1980年代に存在していたスタイリッシュな軽のスペシャリティカーは、現在市場が受け入れてくれない。R1とR2は、デザイン性や小気味よい走りを優先した軽自動車らしい最後の軽自動車かもしれない。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純
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