新型2ドア「CLE クーペ」に対する識者の評価は「程良くグラマラス」「粋」「中2マインド」!?
2023年7月にドイツで発表され、今年3月に日本での発売がスタートした新型2ドアクーペ。従来のEクラスとCクラスのクーペを統合させ、「CLE」という新たな名を冠した。 ▶︎すべての写真を見る 自慢の美しく伸びやかなフォルムはそのままに、専用デザインのスポーツシート、人間工学に基づいて配置された12.3インチと11.9インチのふたつの高解像度ディスプレイを標準装備する。 早速、識者3名にご意見を伺ってみた。
クーペは“贅沢→粋”の時代に
セダンやステーションワゴンがそうであるように、2ドアクーペも昨今の自動車市場においては稀少な存在。 細分化されていた役割をごっそりまとめてSUVが持っていっちゃった、それが現状なわけです。こと、デイリーカーやラグジュアリーカーの領域で2ドアクーペを売ることは本当に難しい。 そんななかで奮闘しているのがドイツ御三家やレクサスのようなプレミアム系ブランドです。とりわけメルセデスは半世紀以上にわたり、フル4シーターのクーペを供給し続けています。 「ベンツのクーペ」といえば「ベンツのワゴン」と同様、昭和から続く贅沢の象徴ともいえる存在です。
CLE クーペはそんなメルセデスの系譜を担うオーセンティックなモデル。天井からトランク部までがひと筆でつながるファストバックフォルムは現代的かつ洗練されていますが、4枚の窓が全部開かなくなったのは個人的には超残念。 まあ今のご時世、スポーツカーでもない2ドアクーペが残ってくれただけでもよしとしなければなりません。 SUVに比べると明らかな不便を我慢してなお、ドアが2枚しかないという“粋”を選ぶ。メルセデスのクーペって、心にそういう余裕が持てる人の車なんですよね。
真の勇者はクーペで駆ける
クーペという言葉は、“切る”という意味のフランス語が語源。で、何を切るのかというと、馬車の時代に後部座席を切ったことに由来する。 後ろの座席を切り離せば、(彼女と)ふたりっきりになれるし、軽量コンパクトになるからガンガン走る。往時のヨーロッパのやんごとなき人々は、パーソナルな空間とパワフルな走りを贅沢だと考えたのだ。 車内が狭いことは不便ではなく、悦楽だった。 でも、男がピカピカのキザでいられた時代も今は昔。空間が広いほうが人も荷物もたくさん載せられるじゃん、どうせだったら背も高くしたほうが便利だよ、というのが今の流れで、こうしてミニバンとSUVの時代になった。 考えてみればそれも当然で、効率を考えればそっちが正解だ。