「親の理想を押しつけた」ガレッジセール・ゴリ 小学校受験を体育座りでボイコットした我が子にかけた「言葉」
■小学校受験当日、わが子の「行きたくない」にハッとして ── お子さんとの印象的な思い出はありますか? ゴリさん:今でも長男と話すのが、小学校受験のときのことですね。子どもにはよりよい人生を送ってほしくて、いい教育を受けさせようと思ったんです。それで、長男には幼稚園から教室に行かせ、小学校受験の準備を整えていました。でも、受験当日、親がスーツを着て「いざ行くぞ」と振り返ったら、長男が体育座りをして動かないんですよ。
「どうした?」って聞いたら、「行きたくない」って言うんです。「なんで?」と聞くと、「幼稚園の友だちと同じ(学区内の公立)小学校に行きたい」って。それで、僕はハッとしちゃって。「ああ俺は、親の理想の人生を子どもに押しつけようとしていたんだ」と気づいたんです。それで「そうか、じゃあやめよう」と決断しました。結局、長男は近所の公立小学校に進学しました。
■「自分の子どもだから運動が得意なはず」と思い込んでいた ── お子さんは「行きたくない」って頑張って言えたんですね。ゴリさんはその言葉を受けとめて、すぐに方向転換された。 ゴリさん:そうなんです。うちの息子、わが子ながらスゴいですよね(笑)。 もうひとつ、小学校に進学してからも反省したことがありました。僕は子どものころから運動が得意で、ずっとサッカー部だったから、息子にもそうなってほしくて、サッカー教室に入れたんですよ。でも、なかなか上達しなくて。ある日、練習をのぞいたら、「お前はゴールを守れ」ってキーパーをやらされていたんです。キーパーに向いているからではなく。それで「もしかして、サッカーやりたくないのか?」と聞いたら、「やりたくない。辞めたい」と言う。それで「わかった。辞めていいよ」と話して、サッカーを辞めたんです。小学2年のころかな。
「じゃあ、何がしたい?」と聞いたら、「漫画が好き。絵を描いているのが楽しい」と言って、それからは夢中になって漫画を描いていました。ところが、小5になって急に「友達からバスケがうまいって言われたからやりたい」と言い出して。バスケのクラブに入り、自分からすすんで熱心に練習していました。小6にはエースになって、卒業のころには区大会で優勝したんですよ。もう、親子でわんわん泣きました。 でもそのとき、抱きついてきた息子に、「お父さんに褒めてもらいたくて頑張った」と言われて、またもハッとしました。「ああ、結局いろいろ俺が押しつけていたのかもしれない」とあらためて気づかされた瞬間でした。