「夏の甲子園ベストナイン」を現地取材記者5人が選出! 強打から堅守へ、新時代で輝いた選手は?
戸田道男氏(編集兼ライター) 投手/西村一毅(京都国際)捕手/東野達(小松大谷)一塁手/國光翔(早稲田実)二塁手/小島想生(関東一)三塁手/高橋徹平(関東一)遊撃手/才田和空(東海大相模)外野手/佐藤洸史郎(青森山田)外野手/入耒田華月(神村学園)外野手/長谷川颯(京都国際) 低反発の新基準バットの採用で、従来に比べ、投手優位の傾向がみられる大会だった。投手部門には、そのトレンドに乗って無双の投球を続けた京都国際の2年生左腕・西村一毅を選出。先輩左腕・中崎琉生との「ダブルエース」の一角を担い、2試合連続完封→5イニング無失点リリーフ→タイブレークを1失点で切り抜けた決勝と24イニング自責ゼロで優勝投手になった。捕手の奥井颯太が「分かっていても打てない球」と評するチェンジアップが武器。それでも、決勝ではチェンジアップのキレがいまひとつと見るや、勝負球をスパッとスライダーに切り替えて左打者を抑え切った。感性の鋭さと物怖じしないハートの強さで2025年も甲子園を沸かせる期待十分だ。 捕手は小松大谷の4番で主将の東野達。初戦の明豊戦は先制打を含む3安打3打点。大阪桐蔭戦はノーヒットに終わったが、エース・西川大智を完封に導く好リード。敗れた智辯学園戦は再び3安打と、攻守に存在感を見せ続け、強豪を撃破する快進撃を後押しした。 強打者ぞろいの一塁手に早稲田実の2年生・國光翔を選ぶのは守備面の貢献度から。鶴岡東戦、大社戦ともタイブレークのピンチにバントシフトで好守を連発。西東京大会まで外野手の背番号を着けていたとは思えないほど一塁守備に天性の職人ぶりが垣間見えた。 二塁手はいぶし銀の攻守を見せた関東一の小島想生、三塁手は関東一の主将で主砲の高橋徹平。東海大相模戦で高校通算61号の先制本塁打を放った高橋は苦手の三塁守備でも努力を重ね、ナインの信頼をつかんだ。 逸材が多く最大の激戦区の遊撃手部門で推すのは東海大相模の才田和空。1番を打ち地方大会で打率6割超に加え、守備範囲の広さは周辺視野の広さのなせる業。広陵戦でショートゴロを処理したとき、一塁送球とかぶりそうな場所にいた二塁塁審に手で合図をして頭を引っ込めさせたシーンは忘れられない。 外野手は1、2番タイプで本塁打を記録した青森山田・佐藤洸史郎と神村学園・入耒田華月のふたりを選出し、3人目は京都国際の右翼手・長谷川颯。同じ2年生の西村と投手の座を争ってきたが、春から野手に専念。準決勝・青森山田戦では決勝タイムリー&三塁返球のレーザービームの活躍を見せた。